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五輪へ中野変身 サンプラザ解体、駅ビルも誕生

編集委員 小林明

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NIKKEI STYLE

2020年の東京五輪開催を起爆剤に、サブカルチャーの街、中野がさらに変貌を遂げる――。

警察大学校の移転跡地の再開発で2013~14年に早稲田大学、明治大学、帝京平成大学やキリンホールディングスなどを誘致したのに続き、中野区はコンサート会場として長年、親しまれてきた「中野サンプラザ」を解体・再整備し、JR東日本と組んで初の駅ビルを建設する構想を新たに明らかにした。

大学進出・本社移転で昼間人口2万人増

完成のメドは東京五輪が開催される2020年としており、地元商店街も「観光客や買い物客を一気に呼び込む好機。駅ビル建設への反対運動はしない」と歓迎している。円安やビザ(査証)発給条件の緩和、チャーター便や格安航空会社(LCC)の日本路線の増加などを背景に外国人観光客も増えており、サブカルの街「NAKANO」を世界に売り込む戦略だ。

そこで今回は大きく変身しつつある中野の将来像と人の流れの変化などを徹底検証してみた。

まず中野駅周辺の再開発の概要をつかんでおこう。

きっかけとなったのは駅北西部にあった警察大学校の移転後の跡地(区所有地などを含む約18ヘクタール)。戦時中はスパイ養成所として知られた陸軍中野学校があった特別な場所だった。

そこに13年4月に明治大学の中野キャンパス(総合数理学部、国際日本学部など)や帝京平成大学の中野キャンパス(薬学部、現代ライフ学部、ヒューマンケア学部など)が開校されたほか、14年3月には早稲田大学の中野国際コミュニティプラザ(日本人学生と留学生が混住する学生寮)も開設。さらにオフィスビル(2棟)も完成し、キリンホールディングス、栗田工業などが続々と本社を移転するなど「昼間人口だけで2万人が増えた」(中野区都市政策推進室)という。これが現状までの大まかな流れだ。

中野サンプラザ・駅ビルが次の大きな目玉に

今後の大きな目玉となるのが「中野サンプラザの解体・再整備」と「駅ビルの誕生」。

三角形の積み木を組み合わせたようなあのユニークな形状の「中野サンプラザ」は、隣接する区役所とともに取り壊し、「ひとまとまりの土地」として一体的に再整備する方向で計画が進んでいる(区役所は別な敷地に移転する方向)。「中野の新たなランドマーク」として生まれ変わる予定だ。一方、駅ビルは既存の駅の西側の線路上に新設する。中野はまだまだ大変身を続ける見通しなのだ。

もう少し細かく説明しよう。

老朽化で解体・建て替えへ

まず「中野サンプラザ」(21階建て、土地面積9530平方メートル)について。

読者の中には人気歌手のコンサート会場として訪れた思い出がある方も多いのではないだろうか?

開業は1973年。もともとは旧労働省所管の特殊法人、雇用促進事業団により整備された公共施設だったが、2004年に中野区や金融機関、民間企業などが出資する「まちづくり中野21」に売却。ホール、ホテル、レストラン、宴会場、会議場、ボウリング場などを備えた複合施設として営業を続けている。

かつては「渋谷公会堂」「東京厚生年金会館」「日比谷野外音楽堂」などと並んで人気の高い"音楽の殿堂"として知られ、吉田拓郎、かぐや姫、オフ・コース、荒井由実、キャロル、イルカ、五輪真弓など日本の歴代の人気芸能人や海外の大物アーティストらがコンサートを開催してきた。

最近では「AKB48」やつんく♂が総合プロデュースを手がける「ハロー!プロジェクト」(ハロプロ)などのアイドル歌手のコンサート会場としてもよく使われており、「アイドルの聖地」としても知名度が急速に高まっている。

このように多くの人にとって愛着の深い建物だったが、中野区都市政策推進室では「すでに老朽化が激しいので安全面から考えても建て替えないといけない状況」だという。ただ、建物の中身や形状など最終的な姿については検討中。「歴史的な経緯を十分に踏まえ、単なる商業ビルではなく、中野らしい特徴があり、多くの人から愛される文化施設になるようにしたい」と話している。

2020~24年ごろをメドに再整備する目標だ。

中央線のミステリー 中野に駅ビルがなかったワケ?

一方の駅ビルについて。

JR中央線には1つのミステリーがあった。どういうわけか中野に駅ビルがなかったのだ。

表はJR東日本がまとめた2012年度の所管駅の1日平均乗車人員のランキング(上位25位)である。中央線の駅を着色すると、中野は新宿、東京、立川、吉祥寺に続いて中央線では5番目に交通量が多い。ランキング全体でも25位に食い込んでいる交通の拠点だ。にもかかわらず、これまで中野には駅ビルがなかった。

JR東日本は「ルミネ」「アトレ」などの駅ビルを展開しているが、中央線の各駅を見ると「ルミネ」が新宿、荻窪、立川など、「アトレ」(「アトレヴィ」を含む)が四谷、吉祥寺、信濃町、東中野などで営業しており、中野には駅ビルがない。

このミステリーについて関係者は(1)「売り上げが減少する」と地元商店街からの抵抗が強かった(2)百貨店や専門店などが集まる日本一の消費地、新宿に近すぎて商業ビルとして成り立ちにくかった(3)中野通りを掘り下げて駅をつくったので地形上、工事の難しさがあった――ことなどを要因に挙げている。

地元商店街ではすでに反対運動の旗を降ろし、活性化の材料としてむしろ歓迎する姿勢を見せている。駅ビルの詳細について、JR東日本は「現在検討中」(広報)とコメントするだけだが、行政関係者や地元経済界は「駅ビルの高さは30メートルほどで、2フロアほどを駅関連施設として使い、残りを商業スペースにあてるだろう」と推測している。

「アトレ大井町」がモデル?

「大井町駅のアトレが参考になりそうだ」――。

線路の上空を活用した駅ビルである大井町がモデルケースになるとも想定しており、6月20日、中野南口駅前商店街の吉田稔夫会長らが現地を視察した。

中野駅ビルは地元からの働きかけで整備する「請願駅」の形態をとる予定。つまり、改札や駅舎、南北通路などの整備費用は中野区が負担し、駅ビル自体はJR東日本が建設する計画だという。中野区は駅ビル関連の初めての予算として今年度に1億数千万円を計上した。東京五輪が開催される2020年までの完成を目指している。

朝は駅から大学・本社への歩行者が激増

再開発は今のところ人の流れにどんな影響を与えているだろうか?

中野駅周辺再開発による人の流れの変化を示す興味深い調査がある。

表は朝8時から9時にかけての出勤・通学のピーク時の歩行者交通量の変化である。駅から大学やオフィスビルに向かう歩行者が大幅に増えているのが分かる。中野駅北口改札(A)では5620人から9766人と1.7倍に増加。それまで人通りが少なかった区役所南側歩道(B)や税務署東側歩道(C)でも飛躍的に歩行者交通量が跳ね上がっている。

"昼食難民"など駅東側にもプラス効果

地元商店街では売り上げが1~3割増えている店が多く、昼食時には外食店が足りずに食事ができずに待たされている"昼食難民"も出ている。2万人の昼間人口が増えるきっかけとなった大学、オフィスビルの周辺でだけでなく、中野通りよりも東側のサンモール商店街や中野ブロードウェイ商店街振興組合などでもジワジワとプラス効果が出ているようだ。

これに加えて、国内外からさらに多くの来客を見込めるようなユニークな施設を中野サンプラザの建て替え計画や駅ビル新設計画で打ち出せたら、「人の流れも街の様子もさらに大きく変わる可能性がある」と地元関係者は期待を寄せる。

3大学を軸とした学園都市、緑地を備えたビジネス街、サブカル系の店が集積する「中野ブロードウェイ」や文化発信基地の「中野サンプラザ」などが混じり合ったユニークな街に変化してきているわけだ。

中野の未来像を地元商業者はどう見ているのだろうか?

代表者の2人にインタビューした。

●中野ブロードウェイ商店街振興組合理事長の青木武さん

――現状までの再開発の効果をどうみるか。

「最も目立つのは平日の朝の客が明らかに増えたこと。出勤途上の会社員や授業に出るために来た大学生が買い物を楽しむ姿をよく目にするようになった。無視できないプラス効果だ。駅ビル新設について、昔なら反対する方針で地元商店街が一致したかもしれないが、もうそんな時代ではなくなっている。むしろ前向きにとらえて、中野の集客力が高まるように努力すべきだと考えている」

――中野ブロードウェイには外国人観光客も多く訪れるようになった。

「おかげさまで世界での認知度は急速に高まってきた。口コミの世界の波及効果はすごい。安倍晋三政権が『観光立国』を掲げて外国人客の誘致に取り組んでおり、心強い追い風になっている。先日も自民党の石破茂幹事長が中野ブロードウェイに初めて来店し、鉄道関係のグッズを購入してくださった。こうしたファンや得意客が増えることで大きなPR効果も期待できる」

――今後、中野をどんな街にしたいか。

「中野ならではの独自の文化風土を発信できるユニークな街になってほしい。アマゾンなどネット通販の伸長が激しく、リアルな店舗は生き残りが難しくなっている。商店同士で足の引っ張り合いをしても仕方がない。リアルな店舗同士で手を組んで、ネット通販には絶対に負けないような魅力あふれる商店街にならないといけない」

●中野南口駅前商店街会長の吉田稔夫さん

――駅ビルの誕生をどうとらえるか。

「3年ほど前に駅ビル誕生の噂が出たときには、事前説明もなかったので私は即座に反対を表明した。だが状況は変わった。地元の消費者も『便利になっていい』と駅ビル誕生に賛成しているし、我々も客の利便性が上がるなら恩恵は享受できると考えるようになった。いったん駅ビルをつくると決めたら、流れはなかなか止まらないもの。駅ビルとの共存共栄は十分可能だと思っている」

――今後、何が課題となるか。

「駅を通過する乗降客はかなり多いが、それが駅の南側になかなか波及しにくいのではないかという懸念を根強く持っている。その意味で、中野区が西側南北通路を設置することになったのはとても良いこと。人の流れが東西南北にもっと活発に動くようになることを希望する。そのためには各地域が特徴やテーマを打ち出していかないとダメ。『障害者アートの支援』など時代の変化を見据えた新たなテーマも地元商店街として検討している」

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