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3つ星スイーツ

2014/6/26

3つ星スイーツ

●ちなみに

ようかんの歴史は鎌倉時代にさかのぼるとされる。もとは、中国から禅僧と一緒に伝えられた「羹(あつもの)」という羊の肉を使ったあんかけ料理だった。日本では殺生をしてはいけないという仏教の教えが厳しく守られていたため、植物性の小豆で代用されたといわれる。茶の湯文化の広がりとともに甘みを加えた菓子になっていったようだ。

ようかんには水分の含有量が少ない練りようかん、小麦などを加えた蒸しようかんなどがある。水ようかんの起源は定かではないが、京都などに奉公に出ていた若者が、ふるさとへの土産にするのに練りようかんに水を加え、かさを増したという説がある。水ようかんのように柔らかいようかんを「丁稚(でっち)ようかん」などと呼ぶ地域があるのも、その名残だとされる。

水ようかんといえば、夏の和菓子の代表のようだが、栃木県や福井県などでは冬に食べる習慣があるそうだ。一般的な練りようかんに比べて糖度が低く、常温では日持ちしないため冬の庶民の味だったという。冷蔵技術の発達した現代では夏の少しぜいたくな和菓子に変貌したようだ。

●記者のひとこと

同じ水ようかんでも、カップ入りに比べて竹筒入りは高級感があり涼やか。その竹筒を竹で編んだカゴに入れた贈答用を用意している店も多い。ただし、生の竹に入ったものは竹の独特な香りがようかんにほんのりとうつり、おいしさを引き立てる半面、消費期限は短いので注意が必要だ。

のどごしの良さを求められる水ようかんでは、粒あんよりもこしあんが圧倒的に多い。こしあんのきめの細やかさは店ごとで異なり、特徴も出やすいと試食会を通じて感じた。気温や湿度、メーンの材料の小豆、砂糖や寒天の配合、小豆を炊く火を止めるタイミングなども微妙に変わるようだ。

小豆を自分でも炊いて、水ようかん作りにトライした。砂糖を入れてもなかなか染み込まない。少し塩を入れると甘みを感じやすくなったが、入れすぎるとえぐみも出てきた。こしあんを作るのはさらに時間と丁寧な作業が必要で、大変だった。店では竹筒やササを消毒し、鍋からようかんのもとを一つ一つ注いで固めているという。つるんと一気に食べてしまうが、これからはその一口に込められた菓子職人の思いへの感謝を忘れまいと思った。

(吉野真由美)

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●専門委員の横顔(五十音順)

下井美奈子さん

1973年生まれ。実家の母が菓子教室講師ということから、子どもの頃からスイーツの食べ歩きや菓子作りを行う。一般企業を退職した後、パリの料理学校「リッツ・エスコフィエ」で料理・製菓の資格取得。またパリの製菓料理学校「ル・コルドン・ブルー」「ルノートル」で学び、2年間のロサンゼルス在住中にも各国の製菓・料理を習得。情報サイト「オールアバウト」では立ち上げの2001年から、スイーツガイドを担当。多数のメディアで洋菓子情報を紹介するほか、商品開発、レシピ提供を行うスイーツコーディネーターも務める。共著に「TOKYO美食パラダイス」など。

下園昌江さん

1974年生まれ。大学卒業後、専門学校やパティスリーで製菓の技術や理論を学んでおり、製法にも詳しい。菓子の食べ歩き歴は15年。近年は特にフランス菓子に力を入れ、フランスを巡るツアーや焼き菓子を中心とした菓子教室も開催。監修本に「とびきりスイーツ見つけた!」。ウェブサイト「Sweet Cafe(スイートカフェ)」主宰。

平岩理緒さん

1975年生まれ。小学生のとき、訪れたデパートでスイーツの魅力に目覚める。大学卒業後、食品会社のマーケティングに携わる。2002年、テレビ東京の番組「TVチャンピオン」デパ地下選手権での優勝を機に、食の情報発信を本格化。退社後はフリーのフードコーディネーターとして活躍中。月に食べる菓子は100種類以上。和菓子店での勤務経験もあり、和、洋菓子全般に詳しい。著書に「アフター6のスイーツマニア」(マーブルトロン)。コミュニティーサイト「幸せのケーキ共和国」主宰。