――しかし大量に売れるユニクロの場合、同じ服を着ている人が極めて多い。消費者は抵抗がないのでしょうか。
「服の力は変わってきています。昔なら同じものを着るのは嫌だ、と思ったかもしれない。でも、いまは自分があるから同じ服でも違いを出して着こなせる。ユニクロの服は一種の『要素』。最先端のモード的な服にも合わせられます。ただ、だれもが着ている服だからこそデザイナーの存在が重要だと思っています。定番であっても、そこに時代を表す色、サイズ、フィット感があるかどうか、プロダクトがその時代においてフレッシュであるかどうかが重要なんです」
「ファッション情報があまりない人に、どうやって着るの? どうやって着たらかっこいいの? ということにこたえていくのも、今回始めたライフウエアのテーマの一つです。これがおすすめできます、というスタイリングをホームページで提案していきます。アプリのようにわかりやすいアイコンをつけて、お客さんとのコミュニケーションも変えていきます」
――今後作ってみたいアイテムは。
「ジャケットです。今もありますが研究途上です。イタリアのクラシコでもないし、米国のキャリアっぽいジャケットでもない、ユニクロらしいもの。ライフウエアというコンセプトを踏まえた上で、こういうジャケットができた、というものに挑戦したい。ヒートテックやレギンスパンツを身につけた時に感じるような、着たとたんに『なんか軽い』『なんか楽だね』と感じられるジャケットが出てこないといけないと思っています」
(聞き手は女性面副編集長 松本和佳)
滝沢直己氏(たきざわ・なおき) 1960年東京生まれ。82年三宅デザイン事務所入社、93年ISSEY MIYAKE MEN、99年ISSEY MIYAKE(Men's & Women's)のデザイナー。三陽商会の「SANYO」ブランドリニューアル、「ヘルムートラング」メンズラインのクリエイティブディレクターなどを経て2011年、ユニクロのデザインディレクターに。