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くらし&ハウス
安心・安全

2012/5/30

安心・安全

名古屋市では今年2月から市営住宅の一部で、1戸に3人の高齢者が暮らすシェアハウスの試行を始めた。高齢単身者に市営住宅の人気は高いが応募者が多く入居は難しい。そこで共同で生活してもらうことで入居機会の増加と、高齢者の孤立防止の2つを狙う。「試行の様子を見ながら募集を拡大する」という。

イベント通じ近隣と深く交流

シェアハウスの個室部分(東京・渋谷のブリッジフォースマイルが運営するハウス)

このほか、障害者と一般の人が共に暮らすハウスや、母子家庭の親子に入居してもらって入居者間で助け合うハウスなども登場。さらに、空き家や団地の空き部屋、空き店舗などをシェアハウスとして使ってもらうことで、地域の活性化に役立てようとの試みも各地で始まっている。

東京都日野市にある「りえんと多摩平」は、都市再生機構(UR)の老朽化団地を不動産業者のリビタ(東京都渋谷区)が改修して生まれたシェアハウス。落合祥子さん(25)は昨年8月、「緑が多く気持ちよさそう」と入居を決めた。

その後、同社からのお知らせを見て地域の夏祭りに参加、子ども向けイベントを実施したところ、「孫が喜んだ」と地域のお年寄りたちから大好評。もちつき大会などの行事にも参加するようになり、周辺住民の知り合いも増えた。ハウスの住民向けに近隣の高齢者を先生とした編み物や着付け教室が始まるなど交流も盛んになりつつある。「こっちが元気をもらっている感じ」(落合さん)だ。

丁助教は「海外ではよい効果が期待できるとして、高齢者や障害者と若い人、一般の人が共に住む住居を行政が奨励する例もある。日本でもシェアハウスによって様々な人が交じり合うことは一つの望ましい形ではないか」と語る。

ただこのような形を普及させていくには、「地域住民の声も反映させながらシェアハウスの大家と入居者の間に入ってトラブルの処理などを担う組織の育成が必要」と指摘する。

また現行の法制度ではシェアハウスの位置付けが明確でなく、「寄宿舎」などと判断する自治体もある。そうなると防災設備なども必要になり、個人の大家には過重なコストがかかりかねない。法制度面の整備を求める声も今後は高まりそうだ。

◇   ◇

他人と共用、トラブルも

シェアハウスは既存の住宅を大改修せずに活用でき、業者にとっても収益性が高いので、今後もますます増える可能性がある。ただ他人と共同で住む場所なので、思わぬトラブルに遭遇しかねない。入居に当たっては注意も必要だ。

最も問題になるのが、台所、トイレ、風呂など共用部分の掃除、後片付けなど。利用ルールや掃除当番を決めても、守らない人が出てくることは珍しくない。業者が共用部分を掃除するハウスもあるが、そうなると「ワンルームマンションに住むのと変わらない」という声も出る。

「想定外のことは必ず起こる」(シェアハウスに暮らす男性)、「性に合わないと思っていたが、意外に慣れた」(同女性)など住んでみないとわからないことが多いのも事実。「すでに住んでいる人と会って雰囲気を確かめることや、お試しの宿泊ができるなら利用してみることも大切」(丁助教)なようだ。(編集委員 山口聡)

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