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ベビーシッター事件 「ひとごととは思えない」 保護者の不安ひしひし

2014/3/26

 ネット上の仲介サイトを通じてベビーシッターに預けた2歳男児が亡くなる事件が埼玉県で起きた。保護者の多くはひとごととは思っていない。子どもが急に熱を出したり、どうしても外せない出張が入ったりしたとき、いったい誰に頼るのか。公的な保育サービスが限られる現状で、安心できる預け先探しに保護者は苦慮している。

 「やめておいて良かった」。東京都のワーキングマザー(44)は事件の一報を聞き、胸をなで下ろした。3年前に再就職活動をしているとき、ネット上のベビーシッター仲介サイトで子どもの預け先を真剣に探したことがある。

 大学卒業後に大手企業に就職。夫の転勤をきっかけに退職し2人の子を産んだ。下の子が1歳になるのを待って再就職を考えた。ハローワークに行ったところ「子連れで来るな」と求職中の男性に怒鳴られた。子は泣き出し、求人票を見る間もなく帰宅した。

 待機児童があふれる昨今、求職中では保育園にまず入れない。親は高齢で、乳幼児を預かってくれる知人もいない。そんなとき仲介サイトを知った。

 「急な依頼もOK」「時給1000円でやります」。魅力的な文言が並ぶ。「2児を育てた経験があり、兄弟まとめて世話します」と自己紹介の欄に書いているシッターを発見。申し込み画面で自分の名前や住所、電話番号を入力。しかし送信寸前に思いとどまった。「サイトの運営者さえ知らない。最後の最後に冷静になり見送った」

 身元も定かではないベビーシッターに子どもを預けるのは軽率な行動だと批判する声も聞こえる。だが、東京都に住む女性会社員(35)は「保護者を一方的に責める気になれない」とつぶやく。共働きで子どもは3歳。認可保育園に預けているが、自分たちが当事者になる可能性がなかったとは断言できない。

 例えば子どもが熱を出して保育園に預けられないことが何度かあった。地元自治体に病児保育はあるが、風邪の流行時はいつも満杯。大手のベビーシッター会社に頼ってみたが、人手がいないと派遣を断られたこともある。「今までは私と夫のどちらかが運良く休めて対処できた。でも、2人とも会社を休めない日はある。そんな日に子の病気が重なったら、すぐにシッターが見つかる仲介サイトを頼る気持ちは分かる」

 ベビーシッターを規制する法制度は特にない。保育士などの資格がなくても子どもを預かれる。事件を受け厚生労働省は「ベビーシッターなどを利用するときの留意点」を公表した。子どもを預ける前に、インターネットの情報だけに頼らず、ベビーシッターとの事前面接や、氏名と住所、保育士資格などの確認を行い、信頼に足る人物かどうか判断するよう呼びかけた。

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