さあ夏休み。お盆の帰省シーズンも間近に迫ってきた。故郷に帰省する際に、ちょっとこだわりたいのはおみやげ。ふるさとの両親を喜ばせるため、家族一緒に味わうためにも、間違いのない品を選びたい。そこで今回は東京ならではの逸品が集まる、羽田空港(東京国際空港)で買える「空スイーツ」を取り上げる。
専門家らによる「日経スイーツ選定委員会」が羽田空港で買えるものを中心に厳選した10品を食べ比べ審査した。和洋様々なブランドの質の高いスイーツの中でも高い評価を集めたのは、有名店が手掛ける羽田空港限定の一品だった。
★★★(3つ星)=文句なしのおいしさ。スイーツファンならぜひ食べるべきだ
★★☆(2つ星)=抜きんでている。電車賃を使ってでも買いに行きたい
★☆☆(1つ星)=水準を大きく上回る。遠回りしてでも買いに行きたい
★★☆ ピエール・マルコリーニ「マルコリーニ ダックワーズ」
2つ星を獲得したピエール・マルコリーニの「マルコリーニ ダックワーズ」〈特徴〉羽田空港だけでしか買えないこの1品。しっとりふわっと香ばしい、ヘーゼルナッツを使ったダックワーズ生地で、苦みとコクのあるチョコレートクリームをサンドした焼き菓子だ。「生地とクリームの食感にこだわっている。食べたときに生まれる一体感を味わってほしい」(同店の担当者)。ダックワーズは小分けに梱包され、かわいらしいピンク色のカンに入っている。カンは小物入れとしても使えそう。包装に「Haneda Airport Limited(羽田空港限定)」と書いてあるのも、帰省土産にはうれしい。
〈感想〉「ヘーゼルナッツが香ばしい生地はふわっとしている。ショコラティエらしくチョコレートクリームもビターで濃厚。羽田空港限定という希少価値もあり、お菓子好きの方に喜ばれる一品」(平岩理緒さん)、「ピエール・マルコリーニのボンボンショコラと比較すると、お値打ち物と感じる」(下井美奈子さん)
〈価格〉6個入り2835円
〈店舗〉羽田空港第2旅客ターミナルビル2階「東京食賓館(時計台3番前)」内(電話03-5757-6220)午前5時45分~午後8時30分
◇同店が過去に星を獲得したスイーツ一覧
★☆☆ 宗家 源吉兆庵「陸乃宝珠」
1つ星を獲得した宗家 源吉兆庵の「陸乃宝珠」〈特徴〉マスカットの中でも最高級といわれる「マスカット・オブ・アレキサンドリア」を一粒まるごと柔らかい餅(求肥)で包み、砂糖をまぶしたフルーツ和菓子。果肉のみずみずしさがとじ込められており、甘酸っぱい味わいとなっている。種も入っているので、食べるときには気をつけよう。このマスカットは岡山県産で、収穫日翌日に同社の工場に届けられる仕組み。同社の担当者は「一個一個、全て手作業で作っている。夕方に売り切れることもあるので、予約をおすすめする」と話す。同社のオンラインショップでも購入できる。
〈感想〉「求肥にまぶされたお砂糖がキラキラ輝いて、まるで宝石のような美しさ。一つ一つ丁寧に包装されているので、大切な方への土産としておすすめ」(下園昌江さん)、「もっちりとした求肥とみずみずしいマスカットとの相性が良く、見た目も涼しげ。夏の手土産に最適」(下井美奈子さん)
〈価格〉6個入り1680円、8個入り2205円、12個入り3360円。(販売時期はマスカットが収穫できる9月中旬頃まで)
〈店舗〉羽田空港第2旅客ターミナルビル2階「金の翼」内(電話03-5757-0160)午前6時30分~午後8時
★☆☆ 資生堂パーラー「ボンボン フロマージュ」
1つ星を獲得した資生堂パーラーの「ボンボン フロマージュ」〈特徴〉一口サイズのチーズケーキが、あめ玉の様にラッピングされているかわいらしい商品。濃厚な味のチーズケーキはタルト生地に挟まれているため、手が汚れるのを防ぎながら食べられるのもうれしい。味は、クリームチーズとサワークリームでコクを出している「ナチュール」、イチゴのピューレが入っている「フレーズ」、オレンジの皮を練り込んだ爽やかな夏限定の味「オランジュ」の3種類。「一つ一つ小分けにしているため、購入者がいろんな人と分けて食べられるようにした」(同店担当者)。要冷蔵なので、購入する際は、買ってからあまり時間がたたないうちに渡せるかどうかを十分考えた方がよい。羽田空港のほか、銀座の本店でも購入できる。
〈感想〉「一口サイズのチーズケーキをキャンディの様に包んだパッケージがかわいらしく、カジュアルなお土産として活躍しそう。チーズケーキはなめらかで濃厚なタイプ。小さいながらも食べごたえがある」(下園昌江さん)、「チーズケーキで有名な資生堂パーラーの商品で、東京でしか買えない限定感もあり、女性に喜ばれる一品。チーズケーキ自体は濃厚な味だが、オレンジ味やイチゴ味などが加わっているので、さわやかで夏でもおいしくいただける」(平岩理緒さん)
〈価格〉5個入り840円、10個入り1680円、15個入り2520円
〈店舗〉羽田空港第1旅客ターミナルビル2階「東京食賓館(Eゲート前)」内(電話03-5756-0366)午前5時45分~午後8時30分、羽田空港第2旅客ターミナルビル2階「東京食賓館(時計台1番前)」内(電話03-6428-8713)午前5時45分~午後8時30分
番外編 桂新堂「甘えび姿詰合せ」
桂新堂の「甘えび姿詰合せ」〈特徴〉愛知県名産のえびせんで、甘エビやせんべいを好む人におすすめの商品。甘エビが丸ごと1匹使われている「踊り焼き」は、エビを生きたまま半分に切り、焼いて作っている。同社は見た目の美しさも追求。冷凍で入荷したエビを使うと、冷凍焼けで白くなってしまうことがあった。「それを防ぐため、新鮮なエビをすぐにお菓子に加工できるよう、北海道に自社工場をつくった」(広報担当者)という。エビをノリで巻いた「磯辺焼き」や、一口サイズの「渦巻き」もおいしい。
〈感想〉「土産というと甘いものになりがちだが、甘いものが苦手な人には、このようなしょっぱいお菓子がおすすめ。お茶請けとしてはもちろん、お酒のつまみとしても喜ばれそう。軽くて日持ちする点も重宝するポイントだ」(下園昌江さん)、「誰からも愛される香ばしい味わいのえびせん。エビの形をそのままに生かした煎餅は、海外への手土産でも喜ばれた」(下井美奈子さん)
〈価格〉4カップ2100円、6カップ3150円、9カップ5250円
〈店舗〉羽田空港第2旅客ターミナルビル2階「金の翼」内(電話03-3747-0304)午前6時30分~午後8時
●ちなみに――日本の玄関口、各地の名産も一堂に
日本の玄関口、羽田空港で土産を販売するターミナルビルが開業したのは1955年。当時は首都圏唯一の国際空港だったが、売られていたのは東京の老舗菓子店の商品などに、ほぼ限られていた。流れが変わったのはリニューアルした2008年。東京の菓子に加え、北海道から大阪など、全国からえりすぐった有名スイーツの販売を開始し、土産の面でも日本の玄関口に生まれ変わった。
国際線、国内線ともに利用客が増えた最近は、羽田空港限定の商品を求める声も高まっている。そのため運営する日本空港ビルデング(東京・大田)が主導して、オリジナル商品の開発を進めている。今回、空港限定商品に評価が集まったのは、その成果ということもありそうだ。今回は取り上げなかったが、期間限定のオリジナルスイーツなどを販売する動きも、各店で広がっている。夏休みに空港を利用する際には、少し余裕を持って出かけて、売り場をチェックしてみてはいかがだろう。
(岸田幸子)
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●専門委員の横顔(五十音順)
下井美奈子さん
1973年生まれ。実家の母が菓子教室講師ということから、子どもの頃からスイーツの食べ歩きや菓子作りを行う。一般企業を退職した後、パリの料理学校「リッツ・エスコフィエ」で料理・製菓の資格取得。またパリの製菓料理学校「ル・コルドン・ブルー」「ルノートル」で学び、2年間のロサンゼルス在住中にも各国の製菓・料理を習得。情報サイト「オールアバウト」では立ち上げの2001年から、スイーツガイドを担当。多数のメディアで洋菓子情報を紹介するほか、商品開発、レシピ提供を行うスイーツコーディネーターも務める。共著に「TOKYO美食パラダイス」など。
下園昌江さん
1974年生まれ。大学卒業後、専門学校やパティスリーで製菓の技術や理論を学んでおり、製法にも詳しい。菓子の食べ歩き歴は15年。近年は特にフランス菓子に力を入れ、フランスを巡るツアーや焼き菓子を中心とした菓子教室も開催。監修本に「とびきりスイーツ見つけた!」。ウェブサイト「Sweet Cafe(スイートカフェ)」主宰。
平岩理緒さん
1975年生まれ。小学生のとき、訪れたデパートでスイーツの魅力に目覚める。大学卒業後、食品会社のマーケティングに携わる。2002年、テレビ東京の番組「TVチャンピオン」デパ地下選手権での優勝を機に、食の情報発信を本格化。退社後はフリーのフードコーディネーターとして活躍中。月に食べる菓子は100種類以上。和菓子店での勤務経験もあり、和、洋菓子全般に詳しい。著書に「アフター6のスイーツマニア」(マーブルトロン)。コミュニティーサイト「幸せのケーキ共和国」主宰。
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