オフィス街に東西線で直結、家賃・公団住宅なども味方に

そのナゾを調べるために、インドから紅茶などを輸入する貿易会社を江戸川区で営むジャグモハン・チャンドラニさんを訪ねた。1978年に来日して以来、ずっと日本に住み続けており、インド人コミュニティーの“顔役”として広く知られている。「江戸川インド人会」の会長も務めている。

「なぜインド人は西葛西に住むのか? それは、西葛西にインド人が暮らすために必要な様々な要素がそろっているからですよ」。チャンドラニさんは開口一番、こう解説してくれた。

まずは交通の便の良さ。

大手町をはじめ日本橋、茅場町などのオフィス街に東京メトロ東西線で直結している。西葛西から西に向かい7つ目の駅が大手町だ。所要時間は14分。IT関係の技術者にとっては、金融機関の本社が多い大手町や東京証券取引所や証券会社の本社がひしめく金融街がある日本橋、茅場町に通勤しやすいのは大変に便利。しかも同じ東西線の九段下駅からインド大使館にも行ける。羽田空港や成田国際空港に行くのも交通の便がよい。

また「西葛西は新興のベッドタウンなので、昔からの地域住民が少ないからしがらみがない」こともプラス材料になった。家賃も都心に比べれば比較的安い。国籍を問わずに入居でき、礼金などのしきたりがない旧公団住宅(UR賃貸住宅)が多いのも外国人には好都合。

こうした要因からインド人が多く住み始めるようになったというわけ。

食事・学校・祭り・インド人会・寺院も

東西線の西葛西駅前(南口)
旧公団住宅(UR賃貸住宅)
インド料理店「カルカッタ」

たしかに西葛西周辺の地図を見ても、インドに関連する施設が多いことが分かる。

インド料理店やインド食材店が集まっているし、チャンドラニさんが経営する輸入紅茶ショップの中には「江戸川インド人会」の事務局も併設されている。駅の南側に今春、インド人学校(グローバル・インディアン・インターナショナル・スクール)も移転してきた。

同校は2006年同じ江戸川区の南篠崎に開校したが、生徒数が増えたため、今年4月に西葛西に移転拡張したという。

移転拡張したインド人学校

「現在の生徒は335人。学校の延べ床面積は移転で約3倍ほどに拡大した」(同校事務局)。ITやヨガの授業も導入されており、子どもの教育問題を抱える家族連れのインド人には心強い味方になっている。

毎年10月末にヒンズー教の新年を祝う収穫祭「ディワリ」が開催される会場もある。西葛西駅から北へ2.5キロほど行った船堀駅(都営新宿線)の近くにはヒンズー教の神を祭る寺院もある。

「下町の雰囲気が好きなので最初は浅草や門前仲町で物件を探したけど、西葛西の物件の方が家賃が手ごろだし、インド人にとっては暮らしやすい。インド人同士の情報交換も活発。生活に困らない」。日本の通信社で働くインド人の女性ジャーナリスト、スープリア・シンさんはこう話す。

こうした多くの好条件が来日するインド人を引き付けているわけだ。

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