2012/12/28

耳寄りな話題

かまぼこに「満月の力」取り入れるメーカーも

欧米の醸造家と同様に、日本にも満月の力を大まじめに製造方法に取り入れている食品メーカーがあった。1865年創業の老舗かまぼこメーカー、小田原鈴廣(神奈川県小田原市)。月1回、満月の翌日に販売するかまぼこ「まんげつ」だ。

満月の力を取り入れた鈴廣のかまぼこ「まんげつ」

発売は1996年5月。鈴木博晶社長(58)の思い入れから生まれた製品だ。同社は水にこだわり、箱根・富士・丹沢山系の地下水を使っている。満月の光を浴びた水で緑茶やコーヒーを作ってみたら、味がとてもまろやかになったという。

かまぼこは「濃い、しっかりした味わい。魚臭くなく、やさしみのある味」(広報担当の小川典江課長)に。「自然のリズムに従って暮らすのがいい」というメッセージを伝えたいと考える鈴木社長の判断で、月一回の限定商品として販売することになった。

満月の夜、午後10時から真夜中まで、90リットル入りの水のタンク3つを工場の外に出して、月の光を浴びさせる。翌朝6時から、その水を使って職人が一個一個手作りで仕立て、午後3時から限定60本で売る。知る人ぞ知る商品で、即日完売になるという。

「満月は誰にでも見られる最高のアイコン」

パッケージにも満月が描かれている

なぜ「満月」がにわかに人気になっているのか。フリフリーゼの会のみさきさんは「人間の生活はもともと太陰暦の流れにのって回っていたから、それを知りたいと人々が思っているのかもしれない」とみる。「稲刈りは満月の日がいい」「新月に切った杉は腐らない」という言い伝えがあるなど、古来の人の営みは月の周期に根ざしていた。

メトロミニッツの渡辺さんは「満月は最高のアイコン(物事を簡単な絵柄で記号化したもの)で、誰でも見られるから」と説明する。震災後の節電で暗くなった街で、月の光の明るさを初めて知り、興味を持った人が増えたのかもしれない。

欧米で満月は「人の心を乱す」不吉なものととらえられがちだ。満月の夜に変身するオオカミ男の伝承も、ここから来ている。現代ニッポンでは、満月をきっかけに人々が集い、つながり、その力を信じる。そんな人々のことを知ってか知らずか、月の光はきょうもすべての人に降り注ぐ。(生活情報部 摂待卓、高田倫志)

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