2012/12/28

耳寄りな話題

メトロミニッツは満月の日の心得も提案する。(1)大切な人たちと余暇時間を心豊かに過ごす(2)怒らず、争わず、許し合う(3)万物の営みに感謝する――の3つだ。「全国で同時多発的にやってくれれば、世界が平和になるかもしれない」(渡辺さん)

鎌倉の「満月ワインバー」がきっかけ

満月の夜に開く酒場は、公園に屋台が出る岡山市の「満月BAR」、大阪市西区のイベント「満月の日の一丁目BARフェスタ」など、各地に生まれている。ただ多くの関係者が嚆矢(こうし)として一目置くのが、鎌倉の小さな総菜屋が始めた「満月ワインバー」。満月の夜に自然派ワインと総菜を出す店だ。

満月の夜に開かれる「満月ワインバー」でワインを楽しむ人々(12月27日、神奈川県鎌倉市のbinot)

同店のシェフ、阿部剛さん(40)がテークアウト専門の「鎌倉惣菜」(当時、現在はレストランbinot)を開店したのが09年3月。5坪ほどの店はもともと、鎌倉の文士が集う文壇バー「龍膽(りんどう)」だった。川端康成や大仏次郎が座ったカウンターがそのまま残り、懐かしさに年配のお客さんがのぞきに来ることもしばしば。

そんな客の一人で80代の書家が「昔みたいにカウンターで飲めたらいいのに。毎日じゃなくてもいいんだ。例えば満月のときとか」とポツリ。阿部さんは、友人でソムリエの石井英史さん(40)から耳にした、自然派ワインの製法を思い出した。

自然派ワインと太陰暦の関係

欧米のワインには、月の満ち欠けに合わせて剪定(せんてい)などの作業を進めるものがある。それで「おいしい」「まずい」が決まるわけではないが、いい部分も悪い部分も味に強く出る自然派ワインができるという。

日本の農家でも月の暦である太陰暦に従って段取りを決めるところは多い。農業に興味があった阿部さんの頭の中で「点と点がつながり」、「満月ワインバー」が09年6月から始まった。満月の日と前日の2日間の開催。人気が伝わり、昨年8月はお盆と重なったこともあって路地にあふれるほど客が訪れ、150本のワインが空になった。

石井さんたちにとってうれしいことに、東日本大震災を機に同じような志の「満月ワインバー」が各地に広がっている。最初は仙台。被災地支援を考えていたとき、ワインの輸入業者から仙台の若いバー経営者を紹介され、意気投合。11年5月にスタートした。その後、盛岡、山形、博多、松本と増え、この10月からは甲府、名古屋、熊本にもできた。

「自然派ワインの良さを伝える情熱のある人たちとつながれて良かった」(阿部さん)。11月からは、満月の夜10時に全国の満月ワインバーで一斉に乾杯をすることにした。「被災地・仙台とつながったことを思い出すために」(石井さん)。その仙台の仲間がデザインした前掛けには「Natural Wines Help Japan(自然派ワインが日本を救う)」とある。

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