自動車×ファッション 創造力はぐくむ遊び心とは

2013/5/26

私たちが商品を選ぶとき、機能や価格のほか、デザインやブランドイメージも重要な判断材料になる。企業やブランドは、どのように創造力をはぐくみ、もの作りに生かしているのだろうか。ゼネラル・モーターズ・ジャパンで広報に携わるジョージ・ハンセン氏とファッションブランド「リトゥンアフターワーズ」代表でデザイナーの山縣良和氏、現代美術キュレーターの小澤慶介氏に語ってもらった。(以下、敬称略)

キャデラック1号車(1902年) 馬車のデザインを踏襲した第1号。当時は移動手段としての大きな目的があったため、デザインは後回し。色は無難という理由から黒に。

ブランドをデザインする

小澤 創造的な遊びと企業との関係を、歴史と市場の観点から探っていきたいと思います。まず、ゼネラル・モーターズにおける主力車キャデラックを例に、歴史的な背景を聞かせてもらえますか。

ハンセン キャデラックは、アル・カポネからマリリン・モンロー、オバマ大統領、レディー・ガガまで、いい人も悪い人も成功の証しとして乗ってきた車です。車の個性を演出するのは、技術とともに進化してきたデザイン。1927年、自動車会社として初めて、デザインセンター「アート&カラー」を設立しました。顧客の多様な好みに合わせるため、新しい色や形、素材をいち早く導入したのです。

キャデラック エルドラド(1959年)のフィン。1940、50年代、開発が進んだジェット機やロケットを思わせるランプのデザインで、時代の空気を表した。
新型キャデラックCTS (2013年3月、ニューヨーク国際オートショーで発表) 「アート&サイエンス」がテーマ。LEDのランプと流線的なラインが印象的な最新デザイン。日本での発売時期は未定。

山縣 20年代にデザインを工業製品に取り入れるのは、とても早いですね。デザインの社会的な重要性を教育するドイツの学校バウハウスができたのが20年ごろです。その思想が一般化するまでには、数十年はかかりましたから。

ハンセン 外向きに強い個性をアピールするのはヨーロッパや日本とは違う、アメリカ的な発想です。エルビス・プレスリーがピンクキャデラックに乗り、アンディ・ウォーホルやサルバドール・ダリが絵にも描き、時代のアイコンになりました。現在は「アート&サイエンス」をテーマに機能的でシャープなデザインを展開しています。ブランドにおいて、昔のDNAをいかに最新デザインに生かすかは重要ですね。

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