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女性が作るデパート元気 会議・残業は激減

埼玉・西武所沢店

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NIKKEI STYLE

男性従業員がいた売り場と女性だけの売り場。どちらが顧客目線の店舗運営ができるのか。こんな検証をしているのがセブン&アイ・ホールディングス傘下の西武所沢店(埼玉県所沢市)だ。百貨店全館をほぼ女性だけの職場にして2年。売上高は増え、会議や残業の時間は激減した。理由を求めて女性が作る館を訪ねた。

なぜ所沢店が変わったのか。単刀直入に山本まゆみ店長(51)に聞いた。「女性はおしゃべりが好き。時間を有効に使い、無駄なことはしたくない。やるべきことが理解できたら徹底する」。この原理を日常業務に落とし込むとこうなる。

所沢店は来店客の8割が女性。女同士、店頭では顧客との商品選びの会話も弾み、欲しい商品やサービスの勘所をつかめる。同僚との何気ない会話も売り場作りの話が多い。

だが、男性がいた時代は目指す売り場を実現するのに時間がかかった。会議の連続で机上で考えた企画が多く、肉付けのデータも必要。顧客に向き合うより机に向き合う仕事だ。残業時間は増え、資料は分厚くなるばかり。段取りにこだわり、いい提案でも売り場に反映されるのは約1カ月半後がザラだった。

今では2週間で売り場が変わる。ハンカチ売り場もその1つだ。2月下旬に商品数を3倍にできた起点は売り場担当の大友亜都子係長(44)たちの雑談だった。

ホワイトデーのギフト用のハンカチ。購買者は男性と思われがちだが、代理購買で主婦が買うことが多い。「女性が欲しいかわいらしいハンカチを売りたい」(大友さん)と、山本店長らに伝え即決。その際の資料はわずか2枚の売り場レイアウト。従来なら6、7枚にはなっていた。

現場発のアイデアは強い。「商品を売りたいと強く思う。その意思は仕入れ先にも伝わる」(山本店長)からそれに応じようと仕入れ先も素早く協力する。売り上げは前年に比べ8%増えて、現在も勢いがある。

こうした意思決定の中核を担う場が通称、車座会議。19日、店内の一室に各売り場の係長や20代後半の販売リーダー約30人が集まった。6、7人の小集団が車座になり接客での気付きなど互いに話し合う。結論は求められない。

だが車座から各売り場連携のアイデアが生まれる。この日も一部で展開予定の桜を基調とした売り場作りについて「館全体でやれないか」と持ち上がった。それを見守っていた山本店長が「よしやろう」と一言。雑談のような話し合いから15分後には決まっていた。

女性下着売り場の改善も車座会議の成果。通路から目に付かないように接客空間を作り、横長のソファを置いた。くつろいだ雰囲気を演出でき、時間をかけた百貨店ならではの丁寧な接客も可能になった。「従来なら『椅子で十分じゃない』で却下されていたのが、現場の意見を尊重してくれた」(井出裕子係長=36)

百貨店には力仕事もある。女性だけの職場に不安はなかったのだろうか。山本店長は「やれるように発想を変え、業務改善で乗り越えられた」という。

例えば商品の運搬は、女性が1人で簡単に運べる小型の台車を使い、搬送量を減らした。搬送回数は増えたが、小回りがきき、営業時間内でも来店客に迷惑をかけることも少ない。在庫と売れ筋の把握にもなる。

同店の強みは、顧客目線の店作りという商いの基本を実現してきたこと。一方でそれを支えてきた、雑談の延長線上ともいえる車座会議は、これまでの意思決定の手順、命令系統とは大きく異なる。しかし、「変化の激しい世の中に対応するには組織を思い切って変えることも必要だ」(鈴木敏文セブン&アイ会長)。

「売上高や業務効率でいい数字を出し続けることがいい組織だと思う」と山本店長は話す。アベノミクス効果、訪日外国人旅行者増などで都市部の大型百貨店は順調だが地方百貨店は恩恵を受けにくい。毎年3%前後の売り上げ減に見舞われる百貨店が多い中で、同店が2年連続でプラス成長をしているのは異例だ。

セブン&アイHDではイトーヨーカ堂、外食のデニーズでも女性だけの店舗を試行している。ダイバーシティ担当の藤本圭子セブン&アイ・プロジェクトリーダー(57)は「男性の仕事とされてきた職種でも女性ができることがわかった」と語る。マグロの解体ショーも女性でできた。適切な店舗規模、人員配置など検討課題はあるものの「女性だけの店作りは広がる可能性がある」(藤本リーダー)。

所沢店の開業は、男女雇用機会均等法の施行と同じ1986年4月。店や働き方は時代と共に変わっていく。

(編集委員 田中陽)

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