日本国内の家庭で使われる電気(電圧と周波数)は国際的にもかなり特殊な部類に属するそうだ。
世界では220~240ボルト、または110~130ボルトが一般的な電圧とされるが、日本の標準は100ボルト。これは世界でも最も低い水準であり、他国ではほとんど使われていない。
日本の周波数もユニーク。世界では60ヘルツと50ヘルツに分かれているが、日本のように60ヘルツと50ヘルツが同じ国内で混在しているのは世界でも極めて珍しい現象らしい。
まず電圧について詳しくみてみよう。
各国の状況を調べると、米国では主に120ボルト、欧州では多くの国が230ボルト前後で電力を供給していることが分かる。おおむね世界の電圧は米国型(110~130ボルト)と欧州型(220~240ボルト)に分類できるようだ。アフリカは欧州型が多い。米国型と欧州型が入り交じっているアジアや南米では、電圧の範囲が110~240ボルトとかなり幅広く分かれる。
日本の100ボルトは米国型の変型とも言えるが、いずれにせよ、日本よりも電圧が高い国が世界の大半を占める。つまり、日本は特殊な少数派なのだ。
なぜ日本では電圧が100ボルトになったのだろうか?
その理由を経済産業省資源エネルギー庁(電力基盤整備課)に聞くと、「電圧が低い方が誤って感電した際、人体への衝撃がより少なくてすみやすい。だから、事故防止など安全性を重視するために100ボルトにしている」という説明が返ってきた。どうやら安全面でのメリットが大きいらしい。
さらに業界関係者からこんな説も耳にした。「国内の電圧を統一した大正時代、世の中に普及していた電球のほとんどが100ボルト用だったのが理由」というのだ。米国の電圧(当時は110ボルト)に合わせようという構想が持ち上がったが、「110ボルトにしたら電球の寿命が短くなってしまうというので100ボルトに落ち着いた」というわけ。
世界の電圧は、このように各国の電力のインフラや社会情勢などが複雑に影響して様々に変化したと考えられている。