実施自治体1割強 広がらない「24時間巡回型介護」

できれば自宅で暮らしたい。こんなお年寄りの希望をかなえる介護保険サービスが2012年度に始まった。「24時間対応の定期巡回・随時対応サービス」だ。しかし、実施する自治体はまだ1割強。なぜ普及が進まないのか。
利用者からの緊急通報は24時間オペレーターにつながる(長野市の巡回訪問24コスモスで)

「事業として成功するか、本当に利用者がいるのかなど迷いはあった。しかし、これまでも訪問介護や看護など在宅支援に力を入れてきた。思いきってやってみようと決断した」。長野市で医療・介護の総合ケア施設を展開する医療法人コスモスの山田徳実事務部長はこう話す。今年4月、市で初めて24時間巡回のサービスを始めた。

在宅支援に有用

要介護度ごとに定額で、昼夜を問わず定期的に自宅を訪問して介護・看護をする。緊急時の電話にも対応、相談に乗り訪問もする。

住宅型有料老人ホームの1階に事務所を置く。現在の利用者は15人。当初は主に老人ホーム入居者の利用を想定したが、実際にはデイサービスや在宅医療の利用者など地域で暮らすお年寄りが大半だ。

80代で独り暮らしの女性は認知症で要介護2。近くに家族がいるが毎日来るのは難しい。昼と夕方に訪問し安否を確認し薬を飲んでもらう。暑い日は随時訪ねて水分補給をする。病院から退院し亡くなるまで利用した要介護5の男性は、訪問看護と併用した。就寝前にオムツ交換し週2回は看護師が体を拭いた。排便時には随時訪問した。

要介護2で共働きの息子夫婦と暮らす女性は、週3回通所リハビリも利用。出かける日は朝夕訪ねて準備などを手伝い、自宅にいる日は朝夕に加え昼に弁当を届け午後も巡回する。家で転倒した時には緊急電話があった。これまでは息子が1時間かけて職場から帰っていた。「安心して働ける」と感謝されたという。

巡回訪問24コスモス管理者の高野彰さんは「在宅支援に有用なサービスに間違いはない」と話す。

在宅介護に力を入れるやさしい手(東京・目黒)は、12年度から巡回サービスを広げてきた。現在、全国51事業所のうち10カ所で実施している。宮崎剛企画課課長によれば、サービス付き高齢者住宅の入居者を中心にして地域にも出て行く方式と、地域だけを対象にする方式の2つがある。

千葉市の事業所は地域の約30人が利用している。管理者の赤田哉恵さんによれば、最も多いのは病院から在宅に移ったがん終末期の人。定期的に訪問して排せつや食事の介助をし、体調を確認するため随時訪問する。訪問看護師と情報を共有する。認知症高齢者の服薬支援や独居、高齢夫婦世帯の利用も多い。要介護度は1~5まで幅広い。

「24時間の契約を結んでいると必要に応じて柔軟に訪問できる。定期的に訪れることで変化にも気付ける。利用者や家族も何かあったら電話すればいいという安心感がある」(赤田さん)

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