ユニクロTシャツをビンテージに NIGO氏に聞く裏原のカリスマ、統括責任者に

ユニクロが11年目を迎えるTシャツブランド「UT」で初めてブランド全体を統括するクリエイティブ・ディレクターを起用した。白羽の矢が立ったのは、1990年代に裏原宿系ファッションの火付け役となったストリートブランド「A BATHING APE(ア・ベイシング・エイプ)」創業者、NIGO(ニゴー)氏。若者から熱狂的な支持を集め、アートや音楽にも独自の視点を持つ同氏が、ユニクロのTシャツをどう変えていくのか。

柳井氏がNIGO氏のアトリエを訪れ…

「10年後、UTのTシャツがビンテージになればいいですよね」(UTの2014年春夏物展示会、東京・渋谷) NIGO(ニゴー) 1970年生まれ、群馬県出身。スタイリストなどを経て93年、東京・原宿にストリートファッションブランド「A BATHING APE」を立ち上げて若者が熱狂的に支持、裏原宿系ファッションの先駆けとなる。アートやインテリア、自転車、ビンテージデニムなどのコレクターとしても知られている。現在、自身のブランド「HUMAN MADE」のディレクション、国内外での音楽活動などを手掛け、2013年ユニクロの「UT」クリエイティブ・ディレクターに就任。

――ユニクロで初めて買った商品は何ですか。

「実は買ったことがありません。家族はヒートテック(発熱保温肌着)などを着ていたので、商品は見ていましたが、店も入ったことがなくて……。ユニクロを意識したことはなかったのですが、エイプ(ア・ベイシング・エイプ)とユニクロはよく比べられました。片やマニアック、片やポップだけれどメジャーという対極なものとして。知り合いのミュージシャンがユニクロと仕事をしていましたし、広告ビジュアルが良かったので、イメージは悪くなかった。でも自分が関わるなんて『まさか』という感じでした」

――どういう経緯でクリエイティブ・ディレクターに。

「僕がコレクションしているシュウィンというビンテージの自転車を取り入れてみました」

「デザイナーの佐藤可士和さんを通じて話があり、柳井さん(柳井正ファーストリテイリング会長兼社長)とお会いする機会が持てた。2012年の暮れです。僕のアトリエに来ていただいたのですが、すごく緊張しました。僕は自転車やインテリアなどさまざまなものをコレクションしています。柳井さんがアートや音楽に大変知識が深くて驚きました。もしかしたら、僕のやっていることをわかっていただけるかもしれない、と感じました。アトリエの空間にも共鳴していただき『絶対一緒に何かやりましょう』と言われて。うれしかったです」

小手先のプリントテクニックではなく、生地から刷新

――UTが10年たち、新しいステージに向かう布石としてNIGOさんを起用したといわれています。

「Tシャツは自分のファッションのベース。毎日着ています。ファッションを好きになったころから、一番おしゃれなのはジーパンにTシャツだと思ってきました。シンプルゆえ難しい。もし僕が本物のTシャツを知っていると評してもらっているなら、いわゆるアメリカンなTシャツ、古着屋で売っていて着れば着るほど味が出る、そういう本物が好きだということでしょうか。きょうのTシャツは10回以上着て、今朝も洗って乾燥機にかけてきました。このほどよい感じが大事。Tシャツは同じもののようで違うんです」