ユニクロTシャツをビンテージに NIGO氏に聞く裏原のカリスマ、統括責任者に

「Tシャツは下着と一緒。一度これと決めたらずっとそこのものを買い続けるものなんです」と話すNIGO氏

――第1弾が2014年春夏物。何を変えましたか。

「まず取りかかったのはボディー(本体)を変えよう、ということ。Tシャツでは、両脇の下からすそに向かう縫い目がない『丸胴』というのが本来の姿。何がいいのか。着ていくにつれて体になじんでくる。この編み方を採用しました。使う糸はそれまでより少し太くしました。表面は少し粗くなります。でも雰囲気が出て、肌とシャツの間に隙間ができる。すると通気性がよくなり、着心地がいい。そこまで追求するメーカーは少ないんですよ」

「多くのTシャツは、細い糸で作られていて見た目がきれい。しかし、実際着てみると、おなかが出ている男性だったら、ぴたーっとくっつくわけです。シルエットが出過ぎちゃうとファッションじゃないし、ちょっとな……、でしょう? 僕は同じコストをかけるなら、小手先のプリントテクニックで個性を出すのではなく、糸を重くするなどボディーに比重を置く。僕が入って、UTはそこが変わったかな。僕は、着た後、どうかっこよくなっていくのかを考えますから」

型が崩れても持ち味、ビンテージの価値生むものを

――Tシャツは消耗品というイメージが強かったです。

「Tシャツは捨てられがちなアイテムですよね。実はそうではない。ずっと持っていて5年後に着ると、『そのTシャツ懐かしいけど、やっぱり今見てもいいね』といわれるファッションの“遊び”を持っています。型が崩れたらそれも持ち味。何年かたってさらにかっこよくなる。UTでビンテージの価値を生むTシャツを目指したいですね」

――エイプで20年Tシャツを作ってきた。ユニクロの生産の仕組みはどう違いましたか。

「驚きの連続ですよ。僕がかつてやりたくてもできなかったことが何だってできる。それもロットが巨大ですから低コストで。たとえばコンテンツ(絵柄)の位置。僕が20年やってきた工程はまずTシャツを作ってからプリントするから、位置にも大きさにも限界があった。ユニクロでは編み上げている途中の段階でプリントに回すことができるから、位置も大きさも自在です。白、グレー、白というように裁断したものを組み上げて色の切り返しを作ることも簡単。それを知った時には、すごいな、もっと色々なことができるな、と羨ましくなりましたね。だってエイプでそういうことをやると、上代(小売価格)は1万円を超えてしまいましたから」

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