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転勤で辞めさせない 新たな選択肢、模索する企業

2013/6/22

 仕事と家庭生活の両立に立ちはだかる、転勤の壁。転勤前提の女性総合職にとっては、自身や配偶者が異動するのを機に、別居か、退職かの選択を迫られることもある。有能な人材を辞めさせない――。企業の模索がはじまった。
夫の転勤を機に関東の営業所に配属されたバイエル薬品の西山こずえ主任(神奈川県藤沢市)

配偶者の転勤地へ異動

 バイエル薬品(大阪市)でMR(医薬情報担当者)として働く西山こずえさん(30)は2012年1月、徳島市から神奈川県藤沢市の営業拠点へと異動した。10年に結婚した夫が翌年、徳島から東京都内に転勤。その数カ月後、追いかけるように自分も動いた。「別居という選択肢はなかった。会社と所属長の配慮に感謝しています」

 西山さんは、同社が09年に導入した「ペア・トランスファー制度」を活用。配偶者が転勤したら、別居せずに通える拠点への異動希望を申請できる。対象は全国に営業拠点網があるMRで、人員配置の都合によっては100%保障されるわけではないが、これまで5人の女性全員が希望をかなえた。

 勤務地を選べない総合職の場合、自身あるいは配偶者の転勤で、仕事を辞める人は少なくない。現場に欠かせない人材であれば、企業の痛手は大きい。

 「入社4~6年目の女性の離職率上昇を抑えることが課題だった」とバイエルの福島敬司人事担当部長は制度導入の背景を語る。聞き取り調査で結婚や出産、転勤など働き続けるうえでの「壁」を把握。結婚を決めた相手が他の地域に住んでいる場合にも転勤を配慮する。今春入社のMRの6割が女性で、関心は高い。

遠距離恋愛を解消

休日に散歩する日本政策金融公庫の天水正幸さんと祐佳さん夫妻(東京都文京区の白山神社)

 「同居できないなら、結婚せずに気楽につきあっていけばいいか」。日本政策金融公庫(日本公庫)で総合職として働く天水祐佳さん(34)は、そう考えていた。社内の交際相手とは8年のうち、双方の転勤で5年間遠距離恋愛。だが昨年3月、ようやく結婚に踏み切った。

 すでに同社には総合職向けに、配偶者の転勤地近くに異動できる配偶者転勤同行制度がある。今年度から「結婚特例」が加わった。新婚あるいは結婚予定がある場合は2年間、配偶者と同居する住まいから1時間半圏内の通勤可能な店舗に転勤を限定するもの。相手が社外でも利用できる。

 上席課長代理の祐佳さんは制度を利用するかどうか悩んだ。「男性と同様、店舗を問わず転勤し、経験を積む方がいいのではないか」。夫の正幸さんも祐佳さんの将来を考えると迷いがあったが、ともに一緒に住みたいという気持ちが勝った。

 ここ5年、総合職採用数の3割を女性とする同社だが、10年勤め続けられる人はまだ半数に届かない。「転勤は相当なネックでした」(女性活躍・職場環境向上推進室の芝田彩子室長)

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