ライフコラム

子どもの学び

慶応大に進学した“ビリギャル” その後の物語

2014/5/6

高校時代に撮ったプリクラには激しい言葉が並ぶ

 そんなさやかさんが変わるきっかけは高校2年の夏に、「ビリギャル」の著者である坪田氏が経営する学習塾に通い始めたことだ。内部進学も危うい学力だったことを心配した母が薦めた。「大人はみんな、私をダメなやつと見ている気がしていた」さやかさんに対し、坪田氏はちゃんとあいさつができることを「いい子だね」と褒めた。「褒められたことって、母以外にはなかった」

 「聖徳太子」を「せいとくたこ」と読んでも、坪田氏はバカにするのではなく、腹を抱えて笑った。面白いねえ、と。「それがすごく印象的で、悪い気はしなかった。この大人は信用できるな、と思った」

 当時の学校の成績は、10段階で数字の下に赤線が引かれて「赤ザブトン」と呼ばれた3以下がほとんど。数学は2、英語は3、体育だけは8。入塾時のテストで出た偏差値は30以下だった。

 でもここから、さやかさんの猛勉強が始まる。なぜ、頑張ろうと決意した?

 「環境を変えたいと思ったんです。このまま内部進学では楽しくなさそうだから絶対嫌だった。今いる場所から飛び出して、世界を広げたかった。そのためには頭のいい、面白い人に出会える大学に行きたかった」。それで狙いを定めたのが慶大。単に、イメージがいい、という理由だけで。「本気で行けるなんて思っていなかったから」

 坪田氏の心理学を駆使したユニークな指導法や、さやかさんの勉強ぶりは、本で詳細に語られている。その結果、第1志望の慶大文学部は落ちたが、同総合政策学部に見事合格した。

 大学入学に備えてしたのが、地味になっていた容姿を元に戻すことだったというのが、元ギャルらしいところ。美容院で6万円かけてエクステンション(付け毛)をつけ、メッシュも入れた。洋服も欲しいものを買った。慶応はきれいな人が多いと聞き、「恥ずかしくないように、との思いから」。

 大学生活については、「受験で学びの面白さに目覚め、大学でも一生懸命勉強した」という、できすぎの物語にはならなかった。「単位はぎりぎりで、留年せずに何とか4年で卒業した感じです」と笑う。ゼミにも入らず卒論もなく、後に恩師と呼べる先生に出会ったわけでもない。専攻を決め、深くその道を追究したこともない。

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