がんを抱えながら働く 治療、職場の制度活用

山形大学医学部などの調査でも53%が収入減と回答。「今までのように働けるか不安(20歳代男性)」「手術後の痛みがひどくて1カ月後に仕事をやめざるを得なかった(40歳代女性)」と悲痛な声が寄せられた。

治療しながら働き続けられる職場づくりはまだこれから。がん経験者の就労問題にかかわるCSRプロジェクト(東京・千代田)は無料電話相談やがん経験者同士が悩みや不安を話し合う「サバイバーシップ・ラウンジ」を続ける。就労支援会社のキャンサー・ソリューションズ(東京・墨田)も始動させた。

遠慮せず伝える

CSRプロジェクトの高橋さん(右)と藤田さんはがん経験を糧に就労相談・支援に奔走する

活動に携わる高橋みどりさん(59)と藤田久子さん(48)もがん経験者。2人がまず助言するのは職場に今ある仕組みを賢く活用すること。がんを想定した休暇や短時間勤務制度がなくても、育児や介護、メンタルヘルスの仕組みを使えないか訴えてみる。藤田さんも、それまではメンタルヘルスなどに適用されていた復帰プログラムを活用して、職場に戻った経験がある。

相談を受けた会社も制度を考えるきっかけになる。職場での不安を1人で抱え込まず、接し方や働き方などの要望も遠慮せずに伝えた方がよいという。

4月にアフラックがまとめた調査でもがん経験者と働く機会のあった職場上司の41%が「がん経験者の復職は難しくない」と答え、機会のない上司の23%を大きく上回った。同僚への調査でも似た傾向が出ている。周囲ががんを「正しく知る」ことも、治療と仕事の両立の第一歩だ。

政府・企業も対策

様々な病気の治療と仕事の両立に向けて政府も支援に乗り出した。昨年閣議決定したがん対策推進基本計画で就労支援の必要性を明記。厚生労働省の治療と仕事の両立に関する検討会も報告書をまとめ、企業の実態調査やガイドラインづくりを進める。

企業では、クレディセゾンが、がんで休職した社員の復帰を手助けする健康管理室を設置。復職後3カ月は最大2時間の時短勤務が可能な制度も導入した。自らもがんを経験したキャンサー・ソリューションズ社長の桜井なおみさん(46)は「職場もがんについて正しく知り、経験者が自分らしく働けるようなムードをじわじわと広げていくのが大切」と語る。

がんが分かった時にも「感情のまま行動せずにいったん立ち止まり、結論を急がない。弱音を吐いたり、相談したりできる第三者を見つける」と強調する。

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