耐震補強、食糧備蓄、保険加入……マンションは大地震にどう備えるべきか

2012/6/18

安心・安全

春から初夏にかけては、多くのマンションで年に一度の管理組合の通常総会が開かれる季節。東日本大震災からまだ1年余りとあって、いざという時の防災対策に懸念を持つ住民は多い。総会では防災用品の備蓄や自主防災組織の発足を決めるなど、新たな備えを講じる動きが広がりつつある。
磯子センチュリーマンションは駐輪場の入り口や駐車場を耐震補強した(横浜市)

5月下旬、横浜市の磯子センチュリーマンションの管理組合が開いた通常総会。「防災備蓄庫の設置を含む各議案は、ほとんどの方の賛成で可決されました」。理事長として議案取りまとめに奔走してきた谷口仁宏さんは総会後、ほっとした表情を浮かべた。

住民800人、2日分の水を備蓄

このマンションは11階建てで370戸が入居。建築後30年以上たつため、震災後に臨時総会を開いて耐震補強工事をするなどしてきたが、今年は一段と備えを進めることにした。

防災倉庫は2カ所あったが、質、量とも不十分。そこで各階の渡り廊下に備蓄庫を2カ所ずつ、合計で36カ所置くことを今年の総会に提案した。住民約800人が1日3リットルの水で2日間しのげる分量の水缶や缶入りパン、簡易トイレなどを備蓄する。購入費用は一般会計予算を使い、事前に地元消防署に渡り廊下部分への備蓄庫設置が可能か確認をとった。

「近くの三浦半島に活断層があり、地震が起きればこのマンションも大きな揺れに襲われる可能性がある。いざという時に慌てないよう、備えはできるだけしておきたい」と谷口さんは話す。

茨城県土浦市のダイアパレス土浦。この5月、敷地内で掘削していた井戸から待望の水が湧き出た。

東日本大震災を教訓

東日本大震災では、14階建てで130戸が入居するこのマンションも被災した。震度は6弱で、建物外壁の一部に亀裂が入ったり、敷地内のアスファルトの一部が地盤沈下したり。断水も4日間続いた。井戸掘削はこの断水が教訓となっており「非常時には近隣の方々にも使ってもらえるようにしたい」(小島清理事長)。

加入していた地震保険で一部損壊と認められ、2年分の修繕積立金に相当する額が支払われた。これらを原資に防災対策を充実させることを昨年決めた。集会室のキッチンなどはプロパンガスに切り替えて業務用コンロを置き、非常時に炊き出しができるようにした。近年使っていなかった住み込み用の管理人居宅は、防災倉庫兼避難所に改修するなどした。

ただ「防災対策はマンションによってまだ温度差が大きい。住民の合意を得にくく、何も決めないところも多いのが現実」。神奈川県マンション管理士会の松本洋司副会長はこう話す。

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