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「尖閣」に揺れた北京でのショー、緊迫の舞台裏 編集委員 小林明

2012/11/16

北京で開いた日中韓デザイナーによる合同ファッションショー(10月31日、北京飯店で)

10月31日。沖縄県・尖閣諸島を巡って日中の外交関係が冷え込んでいるさなか、中国・北京にある北京飯店の大ホールで、日本、中国、韓国の各デザイナー3人による合同ファッションショーが開かれた。主催は中国文化省など。日本を代表して招待されたのはコシノジュンコさん。「日中外交の波風に激しく揺れ動いたイベントだった。日本人として、様々なことを考えさせられた」と打ち明ける。

なぜこの時期に北京で開催したのか?

現地の人々の反応はどうだったのか?

中国政府の狙いは何だったのか?

日中間で数々の文化イベントが延期または中止される中で、曲折を経て実現したショーの舞台裏を振り返ってもらった。

■当初は5月前後に予定

中国政府が最初に予定していたショーの開催時期は今年5月前後だったという。

「北京で日本、中国、韓国のデザイナーを集めて合同のファッションショーを開くことを検討している。協力していただけないでしょうか」。中国政府は当初からこんな意向を持っていたようだ。会場となった北京飯店はコシノさんにとって因縁の深い場所だった。実は、1985年、日本人デザイナーの先陣を切る形で北京でファッションショーを開いた会場が、同じ北京飯店の大ホールだったからだ。

■日中関係悪化で延期に

「だが、この時期、中国でファッションショーなんてできるのだろうか……」。正直なところ、半信半疑だった。

石原慎太郎・東京都知事(当時)が訪問先の米ワシントンで尖閣諸島を都が買い上げるという構想を電撃的に表明したのが4月16日。それを機に、日中関係が一気に緊迫の度を深めていた。「反日運動に火が付き、危害を加えられるかもしれない」「硬軟取り混ぜた中国政府の外交戦略の一環では」――。様々な憶測が交錯し、どうすべきか心が揺れた。

ところが、その後、中国側から具体的な話がないまま5月が過ぎてしまう。中止なのか? 延期なのか? これでは準備のしようがない。中国側の真意を測りかねたが、「やはり外交関係が急速に悪化してしまったので、ファッションショーどころではなくなったのではないか」と考え、計画は立ち消えになったと判断した。

詳細について中国側から正式に連絡が入ったのは8月後半のことだ。

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