私の本棚読んでみて 「交流図書館」で広がる世界

他人の本棚の本を自由に借りられたら、あなたはどうする。共感したり、自分の知らない世界に気づいたり、読書の楽しみはさらに増すかもしれない。本を持ち寄り、自由にコメントしあう交流図書館が静かに広がっている。貸し借りする人たちが感じるその魅力とは……。
ほんの団地では利用者同士が交流するイベントも(東京都国立市)

「普段読まないジャンルだけど一気に読めた。似たタイプの本を紹介して」。「装丁に一目ぼれした」――。

東京都国立市のイベントスペースにある私設図書館「ほんの団地」。40区画に分かれた本棚では、こんなコメントのやりとりが繰り広げられている。

やりとりをするのは、各区画に本を提供する貸し手と借り手たち。本棚には区画ごとに貸し手の名前や肩書を記した名札が貼られ、お薦めの本が並ぶ。借り手は本を借りる際、棚に自分の読書歴や感想を記した「代本本」を置いていく。貸し手や他の借り手は代本本を自由に開き、その人のコメントに目を通せる。

「他人の本棚を眺められる感じが好き」と話すのは、利用者の編集者、三森奈緒子さん(32)。通常の図書館では、どんな人が読んでいるのかは知ることはできない。でも、誰かと同じ本を読む実感が得られれば、読書はもっと楽しくなると思う。三森さんも本棚を保有し、お気に入りの写真集などを並べている。「手に取って共感してもらえたらな」と期待を寄せる。

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無数にある本から好みの1冊を探すのは結構難しい。だから本を買う際に、ネット書店などの口コミ情報を参考にする人は多い。メディアの宣伝や知り合いの紹介などで本を選ぶ人もいるだろう。「ならば図書館も単に本を貸すだけではなく、利用者同士が交流する場所にできるのではないか」。「ほんの団地」の中心メンバーでNPO職員の南部道子さん(37)は話す。

実際、交流は本の貸し借りにとどまらない広がりをみせている。南部さんは自ら貸し出す向田邦子の本を読んだ利用者から「私も大好き」とメッセージが寄せられて意気投合。「阿修羅のごとく」の朗読イベントを開催した。4月下旬には「コイ(恋、鯉、濃いなど)」をテーマに本を紹介し合う交流会も開催。10人ほどが参加した。

持ち寄り型の交流図書館を開設する動きは、各地に広がっている。

愛知県豊橋市の中心部にある花園商店街には、2月に「LINKRARY(リンクラリー)」がオープンした。コンセプトは「みんな立図書館」。利用者が本を持ち寄るだけでなく、地元の老舗経営者らが自らの本棚の一部を披露するコーナーも設けた。

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