ナウシカの飛行機作った! 現代のダ・ヴィンチたち

2013/11/15
宮崎駿監督のアニメ「風の谷のナウシカ」に登場する航空機「メーヴェ」で空を飛びたい。そんな夢の実現に挑んでいる八谷和彦氏と、モーターを使ってありふれた日用品を音の出るオブジェに変える宇治野宗輝氏。アートとテクノロジーの領域をまたぐ現代アーティスト2人をゲストに迎え、NTTインターコミュニケーション・センター主任学芸員の畠中実氏が、技術の進歩が美術表現に与えてきた影響について解説する。(以下、敬称略)
八谷和彦「M-02J」(ジェットエンジン付)のジャンプ飛行 Photo Yoji Ishizawa

アートとテクノロジーの起源は同じ

畠中 アートという言葉は、ラテン語の「アルス」とギリシャ語の「テクネー」が語源だといわれます。つまり、アートとテクノロジーの起源は同じ。レオナルド・ダ・ヴィンチはまさにそれを体現した人物だといえますね。近代に入ってから芸術と技術に切り分けられてしまいましたが、テクノロジーの進化は、写真技術の誕生を例にとっても、絵画を含むアート全般の動向に少なからず影響を与えてきたのです。

畠中実(はたなか・みのる) NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)主任学芸員。1968年生まれ。96年の開館準備よりICCに携わる。主な企画展に「サウンド・アート―音というメディア」(2000年)、「サウンディング・スペース」(03年)、「サイレント・ダイアローグ」(07年)、「可能世界空間論」(10年)、「みえないちから」(10年)など。ダムタイプ、明和電機、ローリー・アンダーソン、八谷和彦といった作家の個展も企画するほか、音楽系イベントも多数企画。

1960~70年代にはテクノロジーを表現の道具として扱うような動きが出てきました。自ら「機械になりたい」と言ったアンディ・ウォーホルが、大量生産されたキャンベルスープ缶を描き、その絵を複製して量産したのはよく知られているでしょう。

同じ頃、電子メディアの革命性にいち早く着目したのは文明批評家マーシャル・マクルーハン。「メディア論 人間の拡張の諸相」で新メディアの登場が人々の認識を大きく変えると説き、その後のメディアアートの発展に寄与しました。マクルーハンが生み出した「グローバルビレッジ(地球村)」という概念は、まさに未来のインターネット時代を予見するものだったのです。ビデオアートのパイオニア、ナムジュン・パイクはその理論を体現しようとしたアーティストでした。

ロマンスとエンジニアリングがあれば

80年代に入ってビデオアートが隆盛すると、電子テクノロジーによって「アルス」と「テクネー」が再び出会ったともいわれ、テクノロジーアートの評価が進みます。90年代以降は高性能のコンピューターが登場し、観客参加型のインタラクティブアートや、インターネットやボーカロイド(ヤマハの歌声合成ソフト)と融合するメディアアートが多く生まれています。

八谷さんは90年代からメディアアーティストとして活動していますが、まるでダ・ヴィンチのように飛行装置も作っています。ご自身の活動を紹介してもらえますか。

八谷和彦「視聴覚交換マシン」(1993年) 撮影:黒川未来夫
八谷和彦「PostPet V3」 (c)So-net Entertainment Corporation

八谷 僕は1993年ごろから、テクノロジーとアートとデザインの領域をまたぐ作品を作っています。例えば、互いに見ているものを入れ替える装置「視聴覚交換マシン」(93年)、かわいいキャラクターが勝手にメールを出すという、コンピューターウイルスがやることをエンターテインメントに置き換えたメールソフト「ポストペット」(97-2006年)、「ありがとう」や「ごめんなさい」を伝えるための自動車に付けるしっぽ「サンクステイル」(96年)などを作ってきました。

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