開発現場、女性が支える 会話力・緻密さ武器に

2013/11/16
電機や化学、機械など男性中心の製品開発現場で女性の活躍が広がりつつある。コミュニケーション能力の高さや緻密さなどを発揮して、現場に変化や新しい価値を生み出している。

英国南部の都市アシュフォードにある日立製作所グループの鉄道車両基地。「ユーキ、連結器の修理作業も見てくれよ」。ずらりと並んだ鉄道車両の間をビデオカメラ片手に作業着姿で歩き回る小柄な女性に、英国人の作業員が声をかけた。

日立製作所デザイン本部の主任研究員、原有希さん(38)。工場や建設現場などで働く人の行動を詳しく観察・分析し、製品やサービスを開発する「エスノグラフィー」という手法の専門家だ。作業現場での“密着観察”が基本。無意識な動作などを分析し、生産性低下の原因などを探り出す。

業務は過酷。何日間も早朝から夕方まで作業員に張りついて動作を観察し、繰り返し質問もする。今回の英国での調査は出張を繰り返し、日数は通算20日間を超えた。

職人気質の男性が多い現場では、部外者は嫌がられることも多い。だが、女性は信頼されると「気にかけてもらいやすく、より多くの情報を引き出せる」(原さん)。英国でも、最初は警戒心の強い作業員が多かったが、熱心さが伝わると声をかけられる機会が増えた。

成果も出ている。原さんたちの調査で高速鉄道の保守事業が軌道に乗り、2012年の英国運輸省からの都市間高速鉄道計画に関する受注につながった。原さんの育ての親でもある同本部の鹿志村(かしむら)香シニアプロジェクトマネージャは「男性主体の顧客先でも、女性が現場目線で潜在需要を十分に引き出せる」と話す。