先生は宇宙戦艦ヤマト・ガチャピン…科学イベント続々

8月、「宇宙戦艦ヤマト2199科学講演会」はネットでも生中継された(C)2012宇宙戦艦ヤマト2199製作委員会

ところ変わって、東京都千代田区にある科学技術館のドーム型シアター「シンラドーム」。8月17日、大スクリーンには星々の中を進む「宇宙戦艦ヤマト」の映像が映し出されていた。「さて、みなさん。今、出てきた天体は実在のものだと思いますか? そう、本当にあるんです」。解説の声が流れると、客席からは感心の声が漏れた。「宇宙戦艦ヤマト2199科学講演会」の一幕だ。

1974年にテレビ放映され、今なお人気が高いヤマト。「2199」はそのリメーク作品だが、描写や設定は最新の天文学に基づき、前作から修正されている。講演では「2199」の科学考証を担った半田利弘・鹿児島大学教授が、ヤマトの旅をたどりながら要所に登場する実際の天文知識などを語る。高度な知識が求められる印象だが、開催が発表されるや、60人の募集定員に対してファンらの聴講希望が殺到。インターネット生中継も準備されるほどの人気となった。

8月、半田利弘・鹿児島大学教授が都内で行った「宇宙戦艦ヤマト2199科学講演会」は聴講希望が殺到した(C)2012宇宙戦艦ヤマト2199製作委員会

「39年前のヤマトはリアルで子どもに強い影響を与えた。リメークするなら改めて最新の天文学を反映すべきだと考えた」と話すのは、製作委員会主幹事プロダクション・アイジー(東京都武蔵野市)の郡司幹雄執行役員。半田教授の助言で取り入れられた最新知識は、例えばヤマトが目指す星「イスカンダル」がある大マゼラン銀河までの距離。地球からの距離は旧作の「14万8000光年」から「16万8000光年」へ修正された。研究の進展で大マゼラン銀河へのより正確な距離がわかったからだ。ほかにも、旧作にはない実在の恒星が登場したり、「自由浮遊惑星」「生命居住可能領域」など現実の天文学用語が使われたり、随所に表現の修正が施されたという。

最新の科学知識は「宇宙戦艦ヤマト」という物語の魅力を高め、新たなファンをつかむ原動力にもなった。実際、作品公開後に科学的背景の紹介などを求める声は自然と高まり、半田教授は鹿児島県で講演を3回開催。東京での開催はそれに続くものだった。製作委は今後、講演会だけでなく、企画展示や書籍化も検討していきたいとしている。

それにしても、今なぜアニメ作品などになぞらえた科学イベントが相次いでいるのか。一つには科学者らが前向きになったことがあるだろう。国内でアニメーションや特撮の映像作品が普及して半世紀。今、一線で活躍する科学者の多くもヤマトなどの作品に親しんで育った世代だ。半田教授は「私自身、昔のヤマトを見て天文学を志した一人。最終的に正しいことが伝わるなら、科学の世界への入り口はアニメなども含め柔軟にとらえていい」と話す。学会など専門家向けの発表だけでなく、空想の映像などでわかりやすく科学を語ることが、将来の後進育成につながると期待する向きもある。

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