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耳寄りな話題

2011/8/16

耳寄りな話題

東京のタヌキを調査している宮本拓海さん

この生息範囲を見ると、緑地の多い地域のほかに、鉄道の沿線が含まれているのが興味深い。「タヌキにとって線路は暮らしやすい場所なんです」と宮本さんは言う。高架された路線は別として、地上の線路脇にはたいてい側溝があり、雑草が生えていて昆虫もいる。深夜、電車が来なくなってからはタヌキの天国。西武線や京王線などは線路沿いに伝っていけば、車の多い大通りも突破できる。

タヌキがこうして生き延びているのに、キツネがいなくなったのはなぜだろうか。明治初期には銀座あたりでもキツネが見かけられたという。彼らはタヌキより頭脳派のイメージがあり、都会のサバイバル競争に向いていそうだが、残念なことに、タヌキより少しだけ肉食系だったことが災いしたようだ。タヌキが果実や昆虫などを食べるのに対して、キツネはネズミなどの小動物を好む。その食生活を支えるためには、より広大な緑地が必要だった。英国の都市などでは今でもキツネを見かけるところもあるが、東京の緑地では、タヌキは養えても、キツネまでは養えなかったようだ。

宮本さんは「タヌキもたらふく食べているわけではなく、東京でこれから急激に増えるようなことはない」と話す。そうしてひっそりと暮らすタヌキたちと万一、幸運にも出くわすことがあったら、どう接したらいいだろうか。いちばん避けたいのは、大騒ぎして追いかけ回すこと。野生動物とは一定の距離を保ち、見守るのが望ましい。「近づかない、騒がない、食べ物を与えない」。宮本さんは、この3原則を提案している。

(生活情報部 平田浩司)

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