保育士、自治体間で争奪戦 あの手この手待機児童解消待ったなし

認可保育所に入れない待機児童をなくすため国や自治体が本腰を入れ始めたが、その裏で深刻になっているのが「保育士争奪戦」だ。自治体はあの手この手で人員確保に知恵を絞るが、給与や待遇で上回る近隣の市に保育士を奪われ頭を抱えるところもある。今春の定員増はなんとか達成できたところも、このままでは人手不足が足かせになりかねないと危機感を募らせる。
神奈川県は潜在保育士を発掘するための支援センターを開設した

「かながわ保育士・保育所支援センター」。横浜駅近くに今年1月、こんなコーナーができた。保育士資格を持っているのに働いていない「潜在保育士」などを発掘し、保育所からの求人につなげようと神奈川県が設置した。

人が集まらない

「非常勤のベテラン保育士が新設園の園長や主任保育士として引き抜かれたという声が聞こえてきた。昨年末の調査でも3~4割の保育所が求人をだしても人が集まらないと答えている。対策が必要と、急きょ開設を決めた」。次世代育成部の榊原友二担当課長が説明する。

窓口には保育士経験の長いベテラン相談員を配置し、子育てが一段落した潜在保育士の再就職を後押しする。1月24日から3月28日までの求職相談は来所、電話合わせて274件。求人は相談131件、登録312件にのぼる(速報値)。運営は県の社会福祉協議会に委託。4月からは横浜市、川崎市など4市との共同事業になった。

神奈川県の待機児童は昨年10月で3929人。榊原担当課長は「潜在的なニーズは県内で推計3万人以上。来年4月に子ども・子育て支援の新制度が始まればパートで働く人も押し寄せる。保育士の奪い合いはもっと激しくなる」と言う。2月には3回の保育士就職セミナー・就職相談会も実施した。

待機児童解消にいち早く取り組む横浜市は、確保の網を全国に広げている。昨年度は市の担当者が保育所の代表らと保育士養成課程を持つ地方の大学など10校を訪問。横浜市の状況を説明した。8月に行った就職説明会は全国の養成校に呼びかけ、市内の保育所を巡る見学ツアーも用意した。今年1月からは保育所が職員の宿舎を借り上げた場合、8万円を限度に家賃を補助する制度も導入している。

一方で、余波を受ける自治体もでている。千葉県流山市は05年のつくばエクスプレス開通以来、人口が伸び続けている。30代の子育て世代の構成比が高く、待機児童対策が大きな課題だ。昨年度も3園を建設し299人定員を増やした。今年度は600人以上の増員を予定する。