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配偶者控除の見直し、「賛成」女性8割(Wの質問) 男性は4割どまり

2014/7/12

 働きたい女性がもっと働けるようにと、政府が廃止・縮小の検討を始めた所得税の「配偶者控除」。日経電子版の読者に見直しの賛否を聞いたところ、賛成が55.4%と反対(44.6%)をやや上回った。

 ただ、配偶者控除が存在するため働き方について悩む立場になることが多い女性に限ると、約8割が賛成した。4割にとどまった男性に比べ、制度見直しの希望が強いようだ。

 配偶者控除は、専業主婦世帯の税負担を軽くする制度。例えば夫が妻を養う世帯で、妻の給与収入が年間103万円以下なら、夫の給与所得から38万円を差し引いて所得税を計算するため、夫の税負担が軽くなる。

 収入が103万円を超えると妻自身も所得税を負担しなければならない。こうした税負担を避け、さらに企業が社員に支給する配偶者手当(多くが配偶者の年収が103万円以下の場合に支給)をもらうため、働く時間を調整して収入を103万円以下に抑えるパート主婦が大量に生まれた。

 この配偶者控除の存在が、女性の働く意欲を阻害しているとの意見が強く、政府は見直しに乗り出した。

 賛成意見では「フルタイムで働き、不公平感をずっと感じてきた」(40代女性)、「妻が薬剤師。(結果的に世帯収入が目減りする、年収)100万円強をすぐ超えてしまった」(60代男性)など、控除の恩恵を受けられない共働き世帯からの不満が目立った。また、「配偶者が働かないのがよいという意味にもとれる」(40代男性)と、共働きが一般的になった時代に制度がそぐわないとの意見も多かった。

 反対理由では育児や「親の介護があったり、子どもに障がいがあったりして働けない場合もある」(30代女性)と、誰もが働ける状況ではないことを指摘する声や、「家計が厳しくなる」(40代女性)とマイナス影響を懸念する意見が出た。

 それでは配偶者控除を見直せば、働く女性が増えたり、働きたい女性がもっと働けるようになったりするのだろうか。これに対しては60.6%の人が「そう思わない」と回答、否定派が半数を超えた。

 「保育園や学童保育などが増えなければ難しい」(50代男性)、「短時間勤務や週2、3回の勤務など、多様な働き方が認められる社会でなければ働く女性の増加は見込めない」(30代女性)。税制の見直しよりも、まず子育て中の女性が働きやすい環境を整える方が先、とする意見が多数を占めた。

 税制以外の専業主婦世帯優遇策も、あわせて見直さないと効果はないとの意見も出た。

 具体的には、国民年金の保険料を年収130万円未満のサラリーマンの妻は負担しなくてよい「第3号被保険者」制度についての批判が目立った。「第3号被保険者制度を廃止して、働くか、配偶者が自分と妻、あわせて2人分の年金保険料を払うかに変更したほうがよい」(30代女性)など、抜本的な見直し策を求める声が出た。

 配偶者控除の見直しをめぐっては、政府の重要な経済政策を検討する場である経済財政諮問会議で議論を進め、年内をめどに結論を出す予定だ。現在、配偶者控除は1400万人が適用を受けている。税負担が急激に増えるのを避けるために設けられた配偶者特別控除の適用を受ける人も100万人いる。

 専業主婦世帯の経済状況は二極化している。夫の収入で十分暮らせる裕福な層と、夫の収入が低いのに子どもの預け先がない、などの理由で妻が働きに出られない貧困層だ。見直しが与える影響はかなり大きいことが予想されるだけに、議論の行方は見逃せない。

(編集委員 武類祥子)

■回答者の声

【配偶者控除の見直しに賛成】
○働かないことを、税控除で奨励してきたようなものだから(40代男性)
○税制や社会保障制度は、働き方や生き方に中立であるべきだ。現在の制度は、必死で働いている女性やその配偶者に厳しく不公平(40代女性)
○働けるのに配偶者控除があるので働かないという人たちを税金で甘やかす必要はない。ただし病気やその他の原因で働けない人への配慮は必要(60代男性)
○配偶者本人の基礎控除と、扶養している人の配偶者控除の二重控除となっていることを改めるべきだ(50代女性)
【配偶者控除の見直しに反対】
○夫の給与収入だけで、つつましく生活し子育てしている世帯の努力を否定する。女性の社会進出を図る施策は、雇用政策や社会保障政策の中で考えていくべきだ(60代男性)
○男性の賃金が下がっているのだから、専業主婦世帯の保護をした方がいい(20代男性)
○配偶者控除を廃止・縮小するのではなく、逆に年収500万円くらいまで引き上げればよい。主婦が喜んで働くだろう(40代男性)
○すべての女性に仕事があるわけではない(50代女性)
【配偶者控除の見直しで働く女性は増える】
○今なら景気の回復に伴い求人が増えていることもあって、働きに出ようとするのではないか(50代女性)
○配偶者控除はひとつの壁。それが崩されれば働く女性、働かざるを得ない女性は増える。ただし働く女性を支援する制度、体制も同時進行で整備する必要がある(50代男性)
○実際に税控除を受けたいがために労働時間の調整をする女性や、それを強要する男性が多数いるのは事実。影響はかなり大きいと思う(40代男性)
○まわりでは103万円や130万円の壁を気にして、働く時間の調整をしている人がたくさんいるから(30代女性)
【配偶者控除を見直しても働く女性は増えない】
○子どもの預け先の整備、会社の理解など働きやすい環境が整っていないので(30代女性)
○国による社会保険制度の見直しや保育施設の充実と、企業が行うべき労働環境や諸手当の見直しなどが実現しない限り、配偶者が更に働くようになるとは思えない(50代男性)
○若い女性の間で専業主婦人気が高い現在、配偶者控除の有無にかかわらず、働く気のない女性も多数いるはず。女性が快適に働ける場がもっと増えるとよい(40代女性)
○家庭の仕事を男性が女性同様にできるのならもっと働けると思うが、現状ではできないので、女性の負担が増えるだけになりかねない(50代女性)

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