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パート主婦の意欲そぐ「年収の壁」 政府、見直しへ 103万円と130万円 企業も是正策

2014/5/13

パートなどで主婦が働くとき、年収103万円と130万円の2つの壁が立ちふさがる。これを超えると税制優遇が縮小されたり、社会保険料の負担が増えたりして世帯収入が減る。こうした仕組みは女性の就労意欲をそぐとして政府は見直しに動き出した。

「まだ5月。でも誰にどのくらい仕事を割り振るか、すでに配慮を始めている」。病児保育サービスなどを手掛けるマザーネット(大阪市)の上田理恵子社長はこう話す。

■手取り16万円減

共働き世帯で子どもが急病になったときなどに自宅にベビーシッターを派遣する。シッターの担い手は主に主婦。ただ登録シッター約300人のうち7割は年収103万円以下の範囲で働きたいと希望する。スケジュールが空いているからと仕事を割り振っていては、早々に年収の上限に達して年後半は“戦力外”となってしまう。「勤務実績とにらめっこ。まるでパズルを解くよう」と上田さんはため息をつく。

年収103万円と130万円。パートで働く主婦の多くはこの壁を超えないように勤務を調整している。その結果、既婚女性の所得分布は年収100万円付近に集中する。女性活躍推進を掲げる安倍首相はこうした現状を問題視。女性の就労拡大を抑制しているとして、税・社会保障制度の見直しを3月に指示し、政府で検討が始まった。

2つの壁のうち、特に高い壁が年収130万円だ。103万円にかかわる配偶者控除は、103万円を超えると段階的に控除額が減るものの世帯収入は減らない。ただ夫がサラリーマンの場合、年収が130万円を超えると妻は自ら社会保険料を負担しなくてはならず、大和総研金融調査部研究員の是枝俊悟さんの試算では、その分手取りが約16万円減る。

「年収129万円のときと同じ手取り額を得るには年収155万円まで働かなくてはいけない。社会保険料を負担する分、将来の年金は増えるのだが、目先の収入が激減するので働く意欲がわきにくい」と是枝さんは指摘する。

年収103万円と130万円の2つ壁とは――税・保険料の支払い義務の境目 年収103万円の壁は税制が主な原因。103万円以下なら本人が所得税を払う必要がないほか、扶養する夫(もしくは妻、以下同様)も配偶者控除を受けられる。103万円を超えると、妻は納税義務が生じ、夫も段階的に控除額が減り(配偶者特別控除)、実質的に納税額が増える。この税制度に合わせて妻が年収103万円以下の場合に限り家族手当を支給する企業もあり、世帯収入への影響はさらに大きい。
130万円の壁は社会保険制度が関係する。夫が会社員の場合、妻の年収が130万円未満ならば保険料を負担せずに国民年金や健康保険に加入できる。130万円を超えると、社会保険料を自ら支払い加入しなければならなくなる。
労働政策研究・研修機構(東京・練馬)の調査では、短時間労働者の34.5%が就業を調整。年収103万円、130万円の壁を理由にあげるケースが多く、現在の仕組みが就労抑制につながっている。

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