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「『赤ひげ先生』は仕組みでつくる」 大石佳能子さん メディヴァ社長

2014/4/6

「赤ひげ先生」を増やしたい――。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、39歳で病院や診療所のコンサルティングを手掛けるメディヴァ(東京・世田谷)を立ち上げた。山本周五郎の小説に登場する「赤ひげ先生」は病人のために親身に診察する医師の理想像だが、実際の医療現場では「3分診療」も少なくない。医療業界の常識にとらわれない発想で、これまで120超の施設の開業を支援してきた。

病院のコンサルタントを手がけるメディヴァの社長を務める大石佳能子さん(東京都世田谷区の用賀アーバンクリニック)=写真 松渕得之

きっかけは1998年に息子を出産した時に覚えた医療業界への違和感だ。待合室で長時間待たされた揚げ句、わずか数分で診察が終わるのは当たり前。患者の診察データが病院間で共有されない。「飲食業やサービス業では顧客目線が当たり前なのに……」

素朴な発想にプロの経営コンサルタントとしてのノウハウを合体させ、コンセプトに賛同する医療法人と組んで、2000年に世田谷区内に診療所を立ち上げた。内科や外科、小児科など様々な専門医がおり、子どもから高齢者まで幅広い症状の診察が可能。カルテはインターネットを通じて患者が自分で確認できる。診察データは所内で共有し、担当医が代わっても引き継がれる。

病院のコンサルタントを手がけるメディヴァの社長を務める大石佳能子さん(東京都世田谷区の用賀アーバンクリニック)=写真 松渕得之

モットーは「『赤ひげ先生』は仕組みでつくる」。医師個人の能力に頼りすぎず、人数や勤務体制の工夫で負荷を減らす。事務作業は極力、スタッフに。出産で1度は仕事を諦めた女医が復帰できた診療所もある。

自社でも、仕事と育児の両立は常識。社内の一室を開放し、従業員が子連れで懇親会を開けるようにしている。「働く場だけでなく、不安や悩みを解消できる場になれば」との思いが強い。

医療業界のコンサルにこだわるのは「人が幸せに生きるための基本的なサービスだから」。生まれた息子に「これがママの仕事だよ」と自信を持って言える分野で活躍したい、そう思った気持ちが原動力だ。

社長業にはその息子と夫の協力が欠かせない。仕事で疲れて帰ると、高校生になった息子がニラ玉を作っておいてくれたこともある。働く母の背中をみて育ったせいか、「自然に自分で何でもできるようになった」。

(栗原健太)

大石佳能子(おおいし・かのこ) メディヴァ社長。大阪大法卒。大手生保会社を退職後、ハーバード大経営学修士(MBA)を取得。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て2000年に起業。52歳

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