2012/9/20

3つ星スイーツ

中に入れるものも様々

●ちなみに――マンゴーやブルーベリー入りも登場

風が涼しく、虫の音が秋の訪れを伝えるこの季節。東の空にぽっかりと浮かぶ、まん丸のお月様「中秋の名月」をめでながら、お団子をつまむのが楽しみという人も多いのでは?

お月見の風習は、日本以外にもアジアの広い国・地域で古くから続いている。月が最も美しい季節に、秋の収穫物をお供えし、五穀豊穣(ほうじょう)を感謝するというのがその起こりだ。日本では新米などを使ったお団子やススキの穂などをお供えするのが一般的だが、中華圏やベトナムなど東南アジアでは餅の場合が多い。

月餅の起源については諸説あるが、発祥の地は中国。14世紀に明の創始者、朱元璋が考案したとの説がある。元の圧政に不満を募らせていた当時、一揆を促すための文書を餅に隠して同士に配り、旧暦の8月15日の夜に決行に至ったという。月が大変美しい夜だったので「月餅」と称したといわれている。

何世紀も続く伝統菓子だが、日本では甘すぎるなどとしてなかなか定着しなかった。日本人の口に合うようにと、先駆けて改良を始めたのが新宿中村屋。あんから油っこさを除く、しっとり口当たりのよい皮にするなど、和菓子の要素を取り入れて改良を重ね、昭和2年に発売した。

現在は、形もあんの種類も様々な種類が登場。マンゴー、ブルーベリーなど季節の果物を使ったあんや、皮に抹茶を練り込んだもの、餅のようにモチモチの食感の生地であんをくるんだ大福のような月餅もある。本場中国でもハーゲンダッツの「アイス月餅」、スターバックスの「コーヒー月餅」など、食のジャンルを超えて融合している。

●記者のひと言――名月の日、心もおなかもいっぱいに

丸い形が一家だんらんを象徴する月餅

スイーツにして縁起物。月餅は家族や友達、社内の絆を強め、幸運を呼ぶお菓子として人々の間で「お歳暮」のようにやり取りされています。

特にお月見シーズン限定で登場するのが、アヒルの塩漬けタマゴ入り月餅。黄金色のタマゴの黄身を真っ黒の小豆あんで包み、夜空に浮かぶ満月を表現しています。「香港の人気レストランはこの時期、大忙し。厨房が天井まで満杯になるほど、たくさんの月餅を焼きます」(グランドハイアット東京 チャイナルーム料理長の中里卓さん)。

今年の中秋の名月は9月30日。満月を見上げながら、仲間とごちそうを囲み、月餅を少しずつ分け合って、心もおなかもいっぱいにしたいですね。

(佐々木たくみ)



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●「日経スイーツ選定委員会」とは

専門委員と日経記者で構成。専門委員は豊富な経験に基づいた通らしい視点で、記者はビジネスパーソンとしての素直な視点で評価。まず、専門委員の意見を参考に書類に基づく第1次審査を実施し、10商品を候補に選定。次に、厳選された10商品を実際に全員で食べ比べ、専門委員の意見を中心に合議制で「3つ星」「2つ星」「1つ星」を決める。

●専門委員の横顔(五十音順)

下井美奈子さん

1973年生まれ。実家の母が菓子教室講師ということから、子どもの頃からスイーツの食べ歩きや菓子作りを行う。一般企業を退職した後、パリの料理学校「リッツ・エスコフィエ」で料理・製菓の資格取得。またパリの製菓料理学校「ル・コルドン・ブルー」「ルノートル」で学び、2年間のロサンゼルス在住中にも各国の製菓・料理を習得。情報サイト「オールアバウト」では立ち上げの2001年から、スイーツガイドを担当。多数のメディアで洋菓子情報を紹介するほか、商品開発、レシピ提供を行うスイーツコーディネーターも務める。共著に「TOKYO美食パラダイス」など。

下園昌江さん

1974年生まれ。大学卒業後、専門学校やパティスリーで製菓の技術や理論を学んでおり、製法にも詳しい。お菓子の食べ歩き歴は15年。近年は特にフランス菓子に力を入れ、フランスを巡るツアーや焼き菓子を中心としたお菓子教室も開催。監修本に「とびきりスイーツ見つけた!」。ウェブサイト「Sweet Cafe(スイートカフェ)」主宰。

平岩理緒さん

1975年生まれ。小学生のとき、訪れたデパートでスイーツの魅力に目覚める。大学卒業後、食品会社のマーケティングに携わる。2002年、テレビ東京の番組「TVチャンピオン」デパ地下選手権での優勝を機に、食の情報発信を本格化。退社後はフリーのフードコーディネーターとして活躍中。月に食べるお菓子は100種類以上。和菓子店での勤務経験もあり、和、洋菓子全般に詳しい。著書に「アフター6のスイーツマニア」(マーブルトロン)。コミュニティーサイト「幸せのケーキ共和国」主宰。