謎解き・菓子づくり…職場で広がる体験型研修

脱「縦割り」実感

日本ではJTBモチベーションズ(東京都港区)が運営する。「同僚の新たな一面が見られた」「職場で雑談を切り出すネタになりそう」などと好評だという。同社の斉藤昌子さん(41)は「座学研修はマンネリに陥りがち。変化をつける意味でも体験型の可能性は大きい」と期待する。

屋外でのゲームにも結束を高める工夫や「気付き」のヒントがある

「チームが輪になって即興で打楽器をたたきながら音をつなげる」「風船を積み重ねて塔をつくる」。チームビルディングジャパン(東京都品川区)も様々な企画を手掛ける。スタッフの近藤卓也さん(27)は「楽しさや仲間との一体感はもちろん、目標を乗り越えた達成感、仕事にも生かせるという手応えを得られるよう工夫した」と話す。

例えば10月中旬の医療法人向け研修ではチームで課題クリアまでのタイムを競うゲームを企画したが、途中で目標を「全てのチームが設定タイムを切る」に変えた。目標達成には他チームともノウハウを共有すべく発想を転換できるかがカギになる。

最初は戸惑った参加者も、ゲームを繰り返すうち動きが変わっていく。終了後の感想では「既存のチーム、縦割りの組織にとらわれないコミュニケーションが必要だった」との声も。楽しみだけでなく「気付き」のきっかけも忍ばせることが、満足度と効果を高めるポイントのようだ。

社員の多様化、突破口求める

メンバーが生き生きとしながら、集団としても目標を達成できる組織を目指す活動は一般に「チームビルディング」と呼ばれる。こうした試みが注目される背景として「働き方が多様化し、職場の課題に分かりやすい処方箋が見つからなくなっている面が挙げられる」(産業能率大学総合研究所の斉藤弘通さん)。

正社員や非正規職員、パートといった雇用形態の違い、短時間勤務やフレックスタイムなど様々な勤務形態、出産や介護をはじめライフステージによる家庭環境の変化……。「職場の同僚」と一口に言っても、メンバーの多様性は年々増している。部署をまたいだ臨時チームでプロジェクトに携わる場合もある。

こうした環境の変化がチームビルディングの需要増につながっている。脱出ゲームのようなチーム体験型イベントは、多様性を乗りこえる突破口のひとつ。メンバーの考え方をすり合わせたり、共有したりする機会になる。

多様な背景を持つメンバー同士が信頼関係を築き上げていく過程では、対立や葛藤がつきものだが、日本能率協会の深代達也さんは「それは当然生じることと受け止めつつ、むしろどうしたら革新に結び付けられるかと発想転換するくらいの心構えが必要になってくる」と指摘する。

ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
出世ナビ記事アーカイブ一覧
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
出世ナビ記事アーカイブ一覧