職場の「濡れ落ち葉」にならないため必要なこと現役続行を意識、自慢話は避ける

かつて高度経済成長を支えた企業戦士たちは定年後、家庭で妻にまとわりつき「濡(ぬ)れ落ち葉」と呼ばれて煙たがられたこともあった。現代の中高年は長く働き続けるうちに家庭でなく、職場で後輩に煙たがられる「新型濡れ落ち葉」とも呼べる存在になる恐れが出てきている。そうならないためには、どうすればよいだろうか。

平日の昼下がり。食品メーカーの営業部門で働くA男さん(56)は「そんなことを急に言われても、できるわけないだろう」と怒り始めた。数年前までマネジャーだったが、今はヒラ社員として、若い頃から土地勘のある業界の企業を担当している。ところが職場で欠員が生じ、年下の上司から他業界の企業も担当するように求められた。

資料作成・パソコン操作を後輩任せに

結局、その企業を担当した経験のある後輩と2人で受け持つことで納得した。だが取引先に持参する資料作りは後輩任せ。後輩にパソコンの操作まで頼り切る。

日用品の専門店チェーンに勤めるB男さん(52)は店舗の管理職を外れ、本社の販売促進部門に移ってきた。穏やかな性格で、最初は周りの受けも良かったが、自分から販促策などの企画を提案することはなく、後輩が手がけるイベントの補佐に回るのがほとんど。補佐する際は後輩に何度も細かい説明を求める。

多忙を極める時期に「オレも昔はよく徹夜した」と置きゼリフを残して帰ることがしばしば。「あんな働き方が許されるのか」と若手社員が憤り、ギスギスし始めている。

1980~90年代、定年後に男性が家庭で妻にまとわりつき、妻の外出時に「オレの昼飯はどうなる」「一緒に行く」と困らせることもあった。濡れ落ち葉と皮肉られた。

若い世代から厳しい目

あれから約四半世紀。現代の会社員には、定年後も家庭に戻って悠々自適に暮らす余裕はない。家計と自らの老後を支えるために、部長や課長などの役職を降りた後も、長い“延長戦”を戦い抜かなければならない。本格的な現役続行の心構えができていない場合、後輩に寄生し、まとわりつく恐れが出ている。

「不機嫌な職場」などの著書がある人材育成コンサルタントの高橋克徳さんは「自分の力で高い成果を上げられなくなっている一部の50~60代に、若い世代が厳しい目を向けている」と指摘する。

今の50~60代は本来、高度成長を支えた少し上の世代に鍛えられ、日本企業が果敢に新規事業に挑んだ時期も経験している。「実力は高いはずだが、この先、どう働けばよいのか困惑し、自信を失っている人も多い」(高橋さん)

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「後輩支える」に意識転換を
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