2012年出生率1.41で低水準 保育サービスさらに充実を

厚生労働省が5日発表した人口動態統計によると、2012年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むとされる子どもの数)は1.41とやや回復したが低水準。経済的理由などで共働き夫婦が増えるなか、出生率の本格的な回復につなげるには、働きながら安心して子どもを預けられる保育施設の整備が欠かせない。「働きやすいように、もっと保育サービスを充実させてほしい」という親の声に応え、多様なサービスを提供する施設が出てきた。

「もっと預かって」

出生率は戦後の第一次ベビーブームのころは4.3を超えていたが低落が続き、1975年に2.0を下回った。最低の1.26となった05年以降はやや持ち直したものの低水準。人口を維持するには2.07を上回る必要があるが、その勢いはない。

幼稚園でも長時間の預かり保育を実施しているところがある(東京都大田区の矢口幼稚園)

出生率低下の要因として未婚者が増えたことに加え、子どもが欲しくても産めない夫婦が多いことが挙げられる。国立社会保障・人口問題研究所の10年の調査によると、夫婦に聞いた理想の子ども数の平均2.42に対し、産む予定は2.07と開きがある。産めない理由として最も多かったのが、子育てにかかる費用など経済的な理由だ。

「もっと子どもを預かってくれれば、長時間働けるのに」。東京都内の幼稚園に3歳の子どもが通う30代の母親Aさんは、不満を漏らす。夫の収入だけでは将来が不安になり、パートで働くことにした。パートではフルタイムの勤務者に比べ保育所に入りにくいため、幼稚園の預かり保育を利用しているが、午後4時には迎えに行かなければならない。「4時以降は勤務ができず、貯金がたまらない。2人目が欲しいが、難しいかも」と話す。

名古屋市に住む会社員で既婚女性のBさん(35)も「早く子どもが欲しいが、臨機応変に対応してくれる保育園がないと、産むのは難しい」と話す。Bさんは午後10時ころまで働くことが多く、土日の出勤もある。「夜遅くまで開いていることに加え、土日も対応できる保育所が近くにないと子育てしながら働くのは厳しい」と感じている。

こうした働く親の声に応え、利用のしやすさに重点を置いた保育サービスが広がっている。

都心のベッドタウンとして人口流入が続く千葉県流山市では、駅前などで親から子どもを預かり、バスで認可保育所に運ぶ送迎保育ステーションが好評だ。帰りは駅前の保育ステーションで迎えを待つ。送迎の手間が少ないので、臨機応変に預かってくれる遠方の保育所にも預けることもできる。08年度に年間延べ2万人程度だった利用者は5万人にまで増えた。

長時間に慎重論も

流山市の出生率は「保育支援拡充の効果」(流山市子ども家庭部)もあって、上昇が続き、06年は1.23だったが11年には1.49と全国平均を上回った。

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