握手、体操…ゲーム感覚で笑顔に 今どきの朝礼事情

同僚の一体感を高める機会に朝礼を活用するのは中小企業や工場、商店で多い。ラムネ菓子やキャラメルをつくる安部製菓(名古屋市)は朝礼に「握手の時間」がある。屋外での社是唱和や体操の後で従業員が2列になり、移動しながら全員が握手し合う。参加する社員にも「今日も一日がんばろうと思える」と好評だ。

誕生日に贈り物

誕生日を迎える従業員には朝礼で社長自らプレゼントを渡し、皆が口々にその人のよいところを発表する時間もある。安部彰二社長(55)は「社内に派閥ができて人間関係がよくない時期があった。朝礼のやり方を変えて社員の心がひとつになってきた」と話す。

朝礼に1時間以上を費やすのは健康食品や化粧品の通販を手掛ける沖縄教育出版(那覇市)。2人ずつ向き合って握手し3回手をたたいて「ハッピー」と声を出しつつ笑顔をつくる「ハッピー体操」をする。初めは恥ずかしがる人が大半だが、続けるうちに笑みがこぼれるようになるという。

メニューはほかにも従業員同士が褒め合う「ビューティーチェック」など盛りだくさん。最近は自分のことを何でもいいので20分間話し続ける「自己開示」が始まった。崎山俊樹さん(32)は「15分過ぎると考えてきたことが尽きて本音が出てくるので、皆が自然と聞き入る。お互いを知ることで仲間との信頼感が生まれている」と話す。

創刊30年近い雑誌「月刊朝礼」の編集人、渡部仁さん(50)は「デジタル時代でコミュニケーションの方法が変わるなか、その反動もあって顔をつき合わせる朝礼が再評価されている」とみる。「飲みニュケーション」が敬遠されがちな今、マンネリに陥らないユニークな朝礼が増えていくのかもしれない。

「職場で孤独」6割

産業能率大学(東京都世田谷区)が20~50歳代を対象に実施したビジネスマン調査では「職場の人と仕事以外で付き合いたいか」との質問に3分の2は否定的だった。「職場で孤独を感じることがあるか」には「たまに」まで含めると6割が「ある」と回答した。

産能大総合研究所の中村浩史研究員(37)は「仕事の範囲が広がってあいまいになり、困っても周囲に相談しにくい。忙しいと気配りする余裕もない。職場全体として課題を共有しにくくなっている」とみる。そのうえで「東日本大震災を機に、職場でも人のつながりの大切さを再認識する人は増えている。朝礼のひと工夫もそうした意識の表れだろう」と分析する。

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