太鼓たたきにブロック遊び 体感型社員研修の効果

打楽器をたたき、ブロックを組み立て、自画像を描く……。これらはすべて、最近の日本企業が取り入れている社員研修のメニューだ。座学ばかりでは眠気を誘うから、というわけではない。こうした研修こそが今、企業に求められているという。その裏には、変わる職場の風景がある。

目線で音リレー

輪になって打楽器をたたき、職場のコミュニケーション力を向上させる研修に参加する野村総合研究所の社員ら(7月10日、東京都豊島区)

「ドンドン」「シャカシャカ」「ジャラジャラ」。東京都内の音楽スタジオで、10人ほどの男女が輪になって様々な打楽器を打ち鳴らす。

指導役の佐々木薫さんが輪の中心に入り、指示を出していく。3人を選んで他の手を止めさせ、「こんな音が、かき消されていたんですね」。たたいている人から目線を送られた人が次にたたくという音のリレーを試み、さらに「ガルー」「ピンポン」と擬音をつけると笑いが起こる。最後はメンバーが次々と中心に躍り出て、身ぶりだけで見事に演奏をリードした。

これは「ドラムサークル(DC)」と呼ばれる即興演奏だ。イベントなどを盛り上げるために行われることが多いが、企業研修にも使われるようになった。この日、体験していたのは野村総合研究所の社員ら。在本葉月さん(37)は「一人の音がはみ出た時に、みんなが足並みをそろえて歩む気持ちにさせてくれた。人はそれぞれ個性があり、それを尊重することが大事とわかる」と、楽しげに語った。

企業向け研修にDCが入るようになったのはここ5~6年。会社が目標を達成し、働く従業員の満足度も上げるよう、組織のあり方を変える「組織開発」の手法として注目された。社員がモチベーション高く個性を発揮することが会社にとってプラス、という考え方に基づくものだ。

DCをメニューに入れる組織開発コンサルタント、チームビルディングジャパン(東京都品川区)の河村甚社長は「言葉を使わずとも周囲が自分を理解し、自分が周囲を理解して、“いいチーム”という意識が出やすい」という。

内面の思い認識

同様に頭よりも手を動かす体感型の研修が、いろいろな形や色のブロック玩具「レゴブロック」を組み立てる「シリアスプレイ(SP)」。デンマークで生まれ、4年前にロバート・ラスムセン・アンド・アソシエイツ(同千代田区)が日本で始めた。

やり方は、例えば参加者に「未来の自分」をイメージするものをヒト型ブロックなどを用いて作ってもらう。さらに、現在の自分を象徴するブロックを1つ選び、未来の自分に近づく原動力となるものも作り、それぞれが何かを考えさせる。「レゴで形作ることで、自分の内面深くにある思いが、より明らかになる」とロバート社の蓮沼孝社長。

ジェイティービー(JTB)グループは今年7月、初めてSP研修をした。対象は入社5~6年の若手。仕事も覚えて忙しくなるので、入社時の思いを忘れ、「このままでいいのか」と不安が出てくる時期だという。そこで、キャリア開発の一環として「5年後のマイチャレンジ」をテーマにブロック作りをした。

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