幼くなった鉄腕アトム? アフリカで変身したワケ編集委員 小林明

少子化・ネット・海賊版……輸出が半減

右のグラフを見てほしい。日本のアニメ制作会社の輸出額の推移である。05年の313億円をピークに減少傾向が続いているのが分かる。最新の12年は144億円でピーク時の半分以下の水準だ。

電通コンサルティングの森祐治・取締役によると、(1)リーマン・ショックに伴う世界経済の減速(2)少子化が進む先進国市場の伸び悩み(3)ネット配信の普及などによる単価減少(4)海賊版による被害(5)尖閣諸島を巡る日中関係の冷え込みによる中国への輸出減速――などがその原因とみられている。

日本のアニメ業界はジレンマを抱えている。

日本国内は少子高齢化が進み、アニメ市場は頭打ち状態。比較的勢いがあるのは深夜帯の成人向けアニメだが「海外では一部のマニアを除けば、成人がアニメを視聴する習慣がない。だから日本で勢いのある成人向けアニメをそのまま輸出しても市場規模がなかなか膨らまない」(森さん)。さらに、最近力をつけてきた韓国、中国、タイなどのアニメに激しく追い上げられている。

ナイジェリア人口は2050年で世界4位に

手塚プロダクションの清水義裕・著作権事業局長

海外に輸出するなら子どもをターゲットにしないとビジネスにつながりにくい。日本アニメはすでに欧米やアジア、オセアニアなどには浸透しているが、南アを除くアフリカ市場は未開拓。アフリカは子ども人口も多く、アニメ業界にとっては成長が見込める。

日本動画協会によると、12年の日本のアニメ制作会社の地域別輸出契約件数はアジアが最大で49.8%(659件)。次いで欧州の24.6%(325件)、アセアニアの9.3%(123件)、北米の8.8%(116件)。一方、アフリカは0.5%(6件)しかなかった。

特にナイジェリアの人口は約1億7000万人でアフリカ最大。国連の予測によると、2050年には3億9000万人に急増し、インド(17億人)、中国(13億人)、米国(4億人)に次ぐ世界第4の人口保有国に浮上する見通し。

「こうした狙いもあり、ナイジェリアを突破口にアフリカ市場の開拓に乗り出すことにした。息が長いビジネスにするために対象年齢も6歳以下と低く設定した」と手塚プロの清水さん。同社の13年3月期の売上高は約20億円でその約6割が「鉄腕アトム」関連。「鉄腕アトム」が再生できるかどうかは手塚プロにとっても死活問題なのだ。

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