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有名になりたい人はパティシエに向いていない

ピエール・エルメ氏×中島眞介氏 スイーツを語る

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NIKKEI STYLE

 東京近郊のおいしいお菓子を紹介する「今週の3つ星スイーツ」。毎回、試食会でそろえるスイーツを買うときは、行列を覚悟で人気店に足を運ぶ。東京は世界有数のスイーツ激戦区。今週は番外編として、フランスと日本の第一線のパティシエに、進化を続ける日本のスイーツについて語ってもらった。

ピエール・エルメ氏「アドバイスすること、もうない」

――日本の洋菓子の印象は?

エルメ氏日本に私の店をオープンして今年で15年になる。洋菓子の国際コンクールの審査員として各国のパティシエの活躍も見るが、日本は味も技術も飛躍的にうまくなっている。手先が器用なのだろう。チョコレート細工やあめ細工などが特にうまい。

日本の洋菓子は、見た目はきれいなのに味に関しては表現力が少し足りないところが以前はあった。和菓子の考え方が根強いことがあるのだろう。比較的限られた食材で味や美しさを表現する和菓子に対して、洋菓子は豊富な食材を使って味を組み立てていく。日本のパティシエもそこに気づき、最近は次々とおいしいものを作るようになった。私がアドバイスすることは、今はもうない。

最近はベトナムのハロン湾に興味

――日本で成功する自信はあったか。

エルメ氏 技術には自信があった。自分の店を開くとき、目指したのは「パティスリー界におけるラグジュアリー(高級)ブランド」。お菓子は五感全てで人を幸せにするものだと考えている。パイ生地のサクサクとした歯ざわり、フルーツの甘みや酸味、クリームのなめらかさなどを組み合わせていく。ただ新しいだけでなく、食べたらうれしく、幸せに感じてくれるため、自分ができる表現を思いっきりしようという気持ちで臨んだ。

――"パティスリー界のピカソ"と呼ばれる。子どもの頃からアートが得意だった?

エルメ氏 絵画が得意だったわけではない。普通の子どもと同じ。今もレシピを考えるときにスケッチはするが、より店やブランドを美しく見せるためにデザイナーやアーティストとの交流を積極的にするようにしている。

――独特の作風は、どのようにひらめくのか。

エルメ氏 食材、誰かとの会話、読書しているときや旅してみたい街への憧れ……。ルールはない。だからいつでもどこでもひらめくことがある。例えば、今は独特な景観を持つベトナムのハロン湾に憧れている。訪れたことはないが、そのイメージをもとにコリアンダーなどの味を添えたマカロンを思いつき、来年、商品として発売する予定だ。

――日本でパティシエが人気の職業になっている。どんな人が向いているのか。

エルメ氏 お菓子に対する情熱が第一。心からやりたいという人でないときつい仕事かもしれない。私は14歳からこの道に進んだ。フランスは14歳まで義務教育がある。学校の最後の1年間は早く修業がしたくてしたくて、つらかった。仕事を始めて、つらいこともあったけれど、本当にパティシエになりたかったから全て幸せな時間だった。

ザ・リッツ・カールトン京都でデザートを担当

フランスでは、若いパティシエがテレビや雑誌に出演する機会が増えている。それがちょっと心配なことだ。スターになることに憧れている子どもがいるかもしれないが、それが目的だったらパティシエには向いていない。お菓子に対する情熱と決意が大事だ。

――今後の展開は?

エルメ氏 来年2月にオープンするザ・リッツ・カールトン京都で朝食を手がけ、全てのレストランのデザートを担当する。アジアでは今月香港に2店目をオープン。今後は韓国、マカオやシンガポールなどでも展開する予定だ。

中島眞介氏「定番ケーキをとことんおいしくしたい」

――ピエール・エルメ氏が日本に出店したときの第一印象は?

中島氏「ピエール・エルメ・パリ」の1号店を東京のホテルニューオータニに開店したのが1998年。エルメ氏の部下のフランス人を中心に、私たちも手伝っていた。

代表作のひとつ、マカロンを湿度の高い東京でパリと同じように仕上げるのにとても苦労した。レシピ通りに作っているのに、きれいにふくらまないし、味も違う。思い通りの仕上がりになるまで、エルメ氏の指導を受けながら試作を繰り返した。エルメ氏に何度「ノン」と言われたことか。

パイの焼き方、クリームの泡立て方、自分の中のお菓子作りの基本が全て変わった。エルメ氏は華やかな世界にいるように見えるが、水面下では職人としてのストイックなまでの努力を積み重ねている。実際に仕事を一緒にすることで、仕事に対する研究熱心な姿勢に感激した。

パティシエ同士の結束力の固さも日本の強み

――日本のスイーツの実力が世界でも評価され始めている。

中島氏 エルメ氏が日本に出店したころ、彼らが作るスイーツは日本の洋菓子とは別物だった。ミルフィーユ1つを例にあげても、しっかり焼き色のついたパイ生地、バニラの香りが濃厚なカスタードクリームなど、まさにフランス直輸入の味だった。

ビジネスとしても注目されるようになった。お客様が列をなす現象が珍しくなくなり、海外有名ブランドが日本に相次いで上陸。実はホテルの調理部門で洋菓子は比較的地味な存在で、パティシエという言葉自体なかった。今は経営的にもスイーツは欠かせない。

――洋菓子の国際大会でも上位の常連になっている。

中島氏 日本はフランスに次ぐスイーツ強豪国としての地位を確立しつつある。国際大会では団体戦が中心。帝国ホテルの望月完次郎シェフ、埼玉・春日部の菓子工房「オークウッド」の横田秀夫シェフ、グランドハイアット東京の後藤順一シェフら、ビジネス上ではライバルなのだが、何度も一緒に国際大会に出かけ日本チームとして戦った間柄。パティシエ同士の結束力の固さも日本の強みかもしれない。

ようかん入りモンブラン、豆乳ショート…和素材で勝負

――中島さんが目指すお菓子は。

中島氏 エルメ氏が「フランス直輸入」の味なら、私は日本人が大好きな定番ケーキをとことんおいしくしたい。日本の洋菓子のスタンダードといえば、ショートケーキ、シュークリーム、モンブラン。でも、フランスにはショートケーキがない。1日平均1万人以上のお客様が来館するホテルということもあり、誰もが食べて安心できるケーキが理想だ。

――具体的には?

中島氏 和の素材を洋菓子に思い切って取り入れている。モンブランは以前、欧州産のマロンペーストが主流だったが、和栗を使ったモンブランをひらめいた。エルメ氏に試食してもらったところ「この素晴らしい日本の素材を、もっと取り入れて菓子をつくればいい」と。今年はようかんが入ったモンブランや豆乳クリームを使ったショートケーキを作った。「こうでなければだめ」という固定観念にはとらわれたくない。(聞き手は生活情報部 佐々木たくみ)

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