「この程度で受診に来るな」と言われても…救急外来の利用法、病院も市民も模索

2012/5/9

安心・安全

比較的軽い症状でも夜間や土日の救急外来にやってくる人が絶えない。こうした利用を「コンビニ受診」として批判する声も多いが、症状が重いか軽いかの判断は一般には難しい。多くは不安な気持ちを抱え病院を頼ってしまう。私たちは救急外来をどう使えばいいのだろうか。

時間外診療費を徴収

「夜間時間帯ですので時間外の特別料金がかかります。救急患者が優先されるので1時間近く待つこともありますが、それでもいいですか」。4月下旬の午後6時すぎ。前橋市の前橋赤十字病院の救急外来を訪れた患者に担当者が丁寧に説明する。

同病院では2008年12月から夜間や休日に受診を希望する患者のうち、緊急性がない軽症患者から通常の診療費に加え「時間外診察費」として3990円を徴収する取り組みを開始した。救急車で運ばれた人を含む11年度の患者数は08年度に比べて2000人以上減少。さらに外来を訪れる軽症患者の割合は取り組み前と比べ約5ポイント低下した。

高齢者から仕事帰りのサラリーマン、乳幼児を連れた母親まで同病院の夜間の救急外来にやってくる患者は様々。「ちょっと頭痛がする」「おなかが痛い」「足をぶつけた」。特に緊急性がないようにみえる患者も多く、待合室は人が途切れることがない。

それでも「『ひとまず様子をみてから病院に行こう』と考える人は増えている。現場の医師は事故や急病など緊急を要する患者に専念できるようになった」(中野実・高度救命救急センター長)とこれまでの変化を評価する。

医師が圧倒的に不足

総務省消防庁によると全国で10年に救急車で搬送された患者498万人のうち、50.4%が入院などを必要としない軽症だった。病院や業界団体などの中には安易な救急車の利用や夜間、休日時間帯の救急外来の利用をコンビニエンスストアに行く気軽さと重ね合わせて「コンビニ受診」と呼んで批判する声も少なくない。

ただ、中野さんは「軽症に見えても、処置が遅れれば深刻な状況になる人もいる。救急現場はそうした危険性を拾い上げる現場でもあるので、無理な我慢は禁物だ」とも強調する。

時間外の救急外来の利用者が絶えない現状に対して、埼玉県済生会栗橋病院(埼玉県久喜市)の本田宏院長補佐は「共働き世帯など平日の日中に病院に通うことが難しい家庭が増えていることも背景にある」と分析する。

その上で「こうした状況が問題になっている一番の原因は救急現場で働く医師が圧倒的に不足していることにある。夜間や休日に病院が患者を診察できるよう医師を増やしていく総括的な仕組みづくりが必要だ」と訴える。

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