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旅行・レジャー
日本の歩き方

2014/2/15

日本の歩き方

昔は街道の両脇に宿屋があったというが、今は数軒のカフェが店を構える。そのうちの1つ「風のビューカフェ友遊由(ゆうゆうゆう)」に入ってみた。コーヒー1杯350円。きつい坂道歩きで汗が出たが、寒い日はやはり温かい飲み物がうれしい。

店主の北村由子さん(63)は店の近くに住む。第2阪奈道路のトンネルが97年に開通するまでは、1日500台くらいの車が奈良側から峠を通過し、勤め先の大阪側へ向かっていたと当時の様子を説明してくれた。北村さんが自分の子を学校に送るのは逆方向だったため「混んで大変だった」という。

府県をまたぐ「重要道路」

暗峠付近から生駒市方面を望む。奈良県側の道幅は大阪府側より広い(奈良県生駒市)

308号が国道に認定されたのは70年。「府県をまたぐような重要な道路は国が管理する」(府八尾土木事務所)という方針に沿った措置だ。もっとも道幅は狭くて当時は未舗装。「夜、路肩に車が落ちたと、呼び鈴で起こされたこともある」と北村さんは振り返る。

カフェ近くを走る信貴生駒スカイラインは国道308号とは交差しておらず、国道はスカイライン下のガードをくぐって進む。スカイラインに沿って広がる府民の森からの夜景を見るため、峠付近に車を置いていくカップルもいるというが、車上荒らしに遭うこともあるので用心が必要だ。

奈良県側の道幅は全体として大阪府側より広い。生駒市は住民の交通の便を考え、峠まで8人乗りのコミュニティーバスを運行している。近鉄南生駒駅からは1日3便が峠まで走る。もっとも市から委託を受ける生駒交通(生駒市)によると、乗客は少ないそうだ。

広い道をしばらく行くと、左手に赤い前掛けをした4体の石仏があった。住民のあつい信仰心の表れだろうか。その右手には「西畑の棚田」が広がっている。美しい里山の風景を残そうとボランティアが保全活動をしているそうだ。峠から南生駒駅までの下りは歩いて約1時間。途中、土造りの蔵や赤いナンテンの実なども観察できる。(東大阪支局長 石川正浩)

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