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目指せ100杯 「めん都盛岡」、わんこそばに挑戦 東北麺紀行(6)

2013/6/29

「お手元の黒いおわんに私たちお給仕(きゅうじ)が、お味の付いたお一口分ずつのおそばを入れてまいります」

テンポよく「対戦」が続く(盛岡市の東家)

うら若い岩手娘のお給仕さんが説明する。

「最初の一杯はお味見として、お薬味を付けずそのままお召し上がりください。2杯目以降はお薬味を入れながら、お味を変えてお楽しみください」

城下町・盛岡の風情漂う一画にのれんを下ろして106年。老舗そば屋の東家2階。最大120人に対応できるという大広間で、いよいよわんこそば初体験のゴングが鳴る。

■最高記録570杯、かけそば38杯に相当

「わんこそばは15杯で普通のかけそば1杯分です。平均は女性の方で30~40杯、男性で50~60杯です。ちなみに当店の最高記録は570杯です」

570杯ってかけそば何杯分だ、と暗算していると、お給仕さんが15杯のそばを載せたお盆を持ってやってきた。

1杯目。はやる心を静めるように、そばが投げ込まれたおわんを見る。お汁粉の白玉団子1個分にも満たないほどの量だ。「ちょろいな」。緊張感が少しほぐれた。口に含むと温かい。

ふと見上げると、お給仕さんがほほ笑んでいる。「よろしいですか?」。「お願いします」。こちらも笑顔でおわんを差し出す。

「はい、じゃんじゃん」。手際よく2杯目のそばが投入される。その後の対戦はリズミカルに続いた。

「はい、よいしょ」「はい、どっこい」「さぁ、どんどん」「はい、まだまだ」「さ、もひとつどっこい」……。

1分ほどで15杯をクリアした。お給仕さんが厨房に次の15杯を取りに行く。「これは思ったよりいけるかも」。心の中にゆとりが生まれる。口直しに、薬味としてついてくるマグロを食べた。

城下町の情緒を今に伝える東家の本店(盛岡市)
3150円コースの薬味。最後に食べた杯数を記入した「証明書」ももらえる
そばを小分けする「ちぎり」と、ちぎったそばにつゆを注ぐ「受け」。息を合わせて15杯を10~15秒ほどで作る(東家)

3分で30杯。5分で45杯。目の前にどんどんおわんが重なっていく。次の15杯を待つ間、薬味の一升漬け(青トウガラシの漬物)にはしを伸ばす。「うっ。辛い!」。思いがけない辛さに動揺が走る。しかし、お給仕さんは相変わらずの岩手スマイル。意を決しておわんを差し出す。

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