2013/11/30

日本の歩き方

斉藤健太主任によると1頭から3~5キロしか取れない最上のヒレを使っているという。特製の辛子味噌をしょうゆに溶き、馬刺しを浸してほおばると、ニンニクやしょうゆの香りと肉のうまみがうまく合う。

起源は戊辰戦争

目玉はやはり色鮮やかな馬刺し(鶴我会津本店、会津若松市)

郷土史家で組織する会津史学会理事の平出美穂子さんは「会津戊辰戦争 増補」(平石弁蔵著)に「此時(このとき)牛馬を患者に喰はしたのが会津地方における肉食の始まりである」という記述を見つけた。今では地元の人たちは特に馬刺しが大好きだ。食事のおかずや酒のさかなとして頻繁に食べている。

馬刺しの歴史は比較的新しい。昭和30年代の後半から冷蔵庫の普及に伴って急速に広がった。当初はしょうゆに練りワサビを溶かしていたが「辛子味噌が絶妙に合うのがわかってから爆発的に広がった」と「肉の荒堀」(会津坂下町)の荒堀義彦代表は話す。

会津の精肉店は競うように辛子味噌の味付けに工夫を重ね、「レシピは門外不出の秘密」(荒堀代表)になっている。

農林水産省のまとめによると馬肉(枝肉)の2011年の生産量は、会津産が大半を占める福島県が896トンと、熊本県産(2154トン)に次いで全国2位を誇る。

馬肉に使う馬は農耕馬など頑丈な「重種」と、競走や乗馬に使うサラブレッドなどの「軽種」に分かれる。どちらも外来種だ。

日本古来の馬は体高が110~140センチしかない。スピードや耐久性に欠けるので「大正時代以降、国が外来種の導入・育成を進めてきた」と馬の博物館(神奈川横浜市)学芸部の長塚孝・主任学芸員は解説する。今では日本古来の馬は「木曽馬」など約1700頭しか残っていないという。

味わいの差は馬の違い

熊本産や全国3位の青森産は重種が中心だが、会津ではほとんどが軽種。重種は味わいが深いが肉が硬い傾向があるので、脂肪分の薄い層であるさしが入った霜降りづくりを目指す。これに対し会津産は、「もともとやわらかい軽種の赤身で勝負している」と会津畜産の宮森専務は話す。

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