2014/6/2

日本の歩き方

「減少する農家に誇りを持ってもらえるよう認知度を高めたい」

出荷を前に千寿ネギを袋詰めに(東京・足立の葱茂)

葱商の一つ、葱茂の安藤将信専務(43)は話す。同社ではかつて出荷の8割をそば店や料亭が占めたが、今ではイトーヨーカドーなどスーパーへの販路が多くなった。

近年は地元の酒店や製菓店が千寿ネギを使った焼酎やせんべいを開発。異業種とも協力して千寿ネギのブランド化に努める。

「住みたい街」に異変

リクルート住まいカンパニーの「2014年みんなが選んだ住みたい街ランキング関東版」によると北千住は21位。前年の48位から大きく順位を上げた。

調査を担当した「SUUMO(スーモ)」編集長の池本洋一さん(41)は「若者の住みたい街の基準が代官山のようなおしゃれで洗練された街から、等身大で親しみがわき、利便性の高い街へとシフトしている」と指摘する。

「北千住は鉄道網が充実し駅前の再開発が進む一方、昔ながらの商店街もあり家賃の安いイメージなども人気を呼んでいるのではないか」

銭湯でヨガを。「千住いえまちプロジェクト」が「旭湯」で開いたイベント

そんななか、若い住民が中心となって、宿場町の面影を残す街の魅力を発信する取り組みが動き出した。

20~40歳代の住民で昨年結成された「千住いえまちプロジェクト」は、寺社など古い建物を使ったイベントや町歩きなどを企画している。

「お寺でヨガなんて新鮮ね」

4月、安養院で開いた「まちヨガ」には子連れの女性ら約30人が参加。オートハープの奏者が音楽を奏でるなか、ゆっくりと体を伸ばした。これに先立ち、2月には銭湯の旭湯でもまちヨガを開催。昨春から1年間で15以上のイベントを企画した。

1級建築士でいえまちプロジェクト代表を務める山崎たいくさん(35)は「北千住は江戸時代から近年までの様々な建物がモザイク状に残っているのが魅力。学生にもイベントへの参加を呼びかけて交流を進めたい」と意欲を示す。

古さと新しさが混在した「ごちゃごちゃ感」。これこそが北千住を語るうえで欠かせないキーワードなのだ。(高畑公彦)

注目記事