北千住、隠れ名物で「住みたい街」急上昇首都圏イーストサイド繁盛記

期待通り、一部の店は若者たちでにぎわうようになっている。だが、商店街の関係者からは大学が集積して間もないこともあり「駅周辺だけでなく、地域全体の活性化が今後の課題」との声も聞かれる。

銭湯の聖地

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宿場町の面影を残す北千住の街は、迷路のように細かく入り組んだ路地が特徴だ。一歩足を踏み入れると下町情緒を感じさせる寺社や蔵などが顔を見せ、タイムスリップしたような感覚にとらわれる。

駅から北西へ歩くこと15分。日光街道(国道4号)を抜けて細い路地を進むと、立派な宮造りの銭湯が姿を現す。華麗な日本庭園を備える「タカラ湯」だ。

創業は1938年。寺社建築で重厚感あふれる2段構えの「千鳥破風」の屋根を持ち、玄関の上からは御利益を願った七福神の透かし彫りが見守る。

風呂場につながるのれんをくぐると、ツツジやアジサイなどが植えられた約100平方メートルの庭園が広がる。風呂につかった後は数十匹のニシキゴイが泳ぐ池を眺めながら、「キングオブ縁側」の異名を取る庭に面した広いスペースでゆったりとくつろごう。

タカラ湯の三代目、松本康一さん(64)は「最近は学生の客も徐々に増えてきた」と語る。帝京科学大のキャンパスに近いため、部活の後に寄る人も出てきた。

少子化や銭湯離れで、ここも客数の減少に歯止めはかからないが、今後は外国人の集客にも視線を向ける。富士山のタイル絵は管理が大変なため父の代でやめていたが、世界遺産登録の動きに合わせて復活させた。

1960年代に40軒ほどあった銭湯は約10軒に減少。とはいえ「唐破風」の屋根を持つ大黒湯など北千住には今も宮造りの銭湯が目立ち、銭湯好きにとっては聖地だ。

タカラ湯の松本さんは「外国人が安価で利用できる宿泊施設の多い南千住の山谷地区と協力し、銭湯の魅力を伝えることができれば」と話す。

北千住にはこんな名物もある。

きめが細かくずっしりとした重量感が特徴で、すき焼きや焼き鳥などに珍重される「千寿ネギ」だ。産地は埼玉県などに移ったが、今でも江戸時代から続く区内の専門市場に出荷され、「葱商」と呼ばれる目利きの仲買人が買い付ける。

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