おいしすぎて……「うどん県」香川の悩み

糖尿病治療者のうどん消費量
うどん消費量HbA1c
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Fさん(60代)月2食7.1若いころから、うどんはたまにしか食べない
Gさん(50代)週2食6.5若いころは、昼食で特大(4玉分)に出汁(だし)まで飲み尽くしていた
Hさん(60代)週2食6.0以前は週2食、大(2玉)だったが、年を取って最近は1玉にしている
Iさん(60代)月3回6.9うどんは大好物だが量は減らした。ストレスがたまると、うどんが食べたくなる
Jさん(60代)ほぼ毎日1食8.3香川に来て10数年。糖尿はそれ以前の生活の不摂生の影響

うどんに関しては「患者さんに聞くと『うどんは吸収がよくてすぐにお腹がすくので、大(2玉分)でも、おにぎり2つ、さらに天ぷらも1つ付けていた』という人もいた」という。うどん一杯だけなら300キロカロリー強だが、この量は960キロカロリー程度。年齢によっては、食べ過ぎが問題になる量だ。

石田さんは「うどんだと、あまりかまないで食べるケースも目立つ。うどんの前におでんのコンニャクや野菜を食べると、食後血糖値の上昇を防げる」とアドバイスする。うどんと糖尿病に直接的な因果関係はないが、食べ方を工夫しなければ、間接的な影響を受ける恐れはあるようだ。

問題は運動と野菜の不足

ほかに運動量でみると、香川県民の1日の歩行数は6649歩と、全国平均を900歩近く下回る。東京都民と比べると約1600歩も少ない。東京は地下鉄の乗り換えなどで歩く機会が意外と多いが、公共交通が限られる香川は典型的なクルマ社会。朝から晩まで移動はすべて車、という人も少なくない。

「仕事柄、1日に6玉は食べる」というさぬき麺業の香川社長。主治医から糖尿病と言われたことはないという。

野菜不足で言えば、香川県民の野菜の摂取量は男性が全国で最下位。香川県栄養士会の三野安意子会長は「例えば、朝食抜きで昼食がうどんだと、野菜をきちんと食べるのは夕食時だけ、ということになる」と指摘。昼食にうどんだと、摂取する野菜はトッピングの刻みネギやダイコンおろしぐらい、ということも珍しくない。

野菜不足解消に向け、県は保健所などを通じて、各うどん店を回り、サラダやおひたしなどを置いたり、ダイコンやニンジンを煮込んで入れた郷土料理の「しっぽくうどん」などをメニューに加えるよう要請。一部保健所では、野菜などを置くうどん店を紹介した「ヘルシーうどん店マップ」を作成、配布している。香川大は野菜を麺に練り込んだうどんの開発に着手した。

さぬき麺業も昨年から緑黄色野菜などを盛った「野菜うどん」をメニュー化。また、うどんチェーンの「こだわり麺や」は砂糖を使わず、糖尿病予防に効果があると期待される「希少糖」を使ったメニューを提供している。

石田さんら関係者が、糖尿病予防として共通して呼びかけるのは「野菜をたくさん食べるなどバランスのいい食生活と、運動習慣」。これは香川県民に限ったことではなく、全国に通じる話だ。

結局、うどんそのものが糖尿病の原因ということはないといえそうだ。一方で、香川県の肥満者割合は全国平均よりかなり低いという統計もある。筆者も高松でうどん好きになり、平均して週3回は食べているので、正直ちょっとホッとした。

県外の皆さん、安心して、おいしいうどんを食べに讃岐に来まい(いらっしゃい)!

(高松支局長 岩沢健)

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