三陸でカキ三昧 生・焼き・フライにひつまぶし東北魚紀行

南北600キロメートルにわたって続くリアス式海岸。三陸のカキはこの複雑に入り組んだ海岸線が生み出したといっても過言ではない。ミネラルなど森の栄養が川から海へ注ぎ込む。さらに特徴ある海岸線が湾内を静かに保ち、この「ベッド」の中で三陸のカキはゆっくりと育つ。

ぷっくり膨らんだむきたての生カキ(宮城県石巻市の雄勝湾で)

三陸の海を味わう

カキの醍醐味はぷりぷりとした食感と、かんだときに口いっぱいに広がる磯の味だ。1個のカキが吸う海水は1日200リットルともいわれる。カキを食べるということは、そのカキが育った海を食べることに等しい。

ホタテの貝殻に種付けして育てたカキを水揚げする漁師(宮城県石巻市の雄勝湾)

三陸カキの名産地の1つ、宮城県石巻市の雄勝湾も森の栄養分がたっぷり流れ込んだ豊かな海だ。地元の漁師、伊藤浩光さんに水揚げしたばかりのカキを食べさせてもらったが、磯の塩っ気と独特の甘みが絶妙に調和してたまらない味わいだ。

仙台市内で伊藤さんのカキを食べられるのが、「日本一の宮城の魚が喰える店 第十一天海丸」だ。1番人気は「殻カキ岬蒸し」(1箱1260円)。注文すると、店長の中鉢康範さんが7、8個の殻付きカキを30センチメートル四方の缶に入れて持ってきてくれた。

中鉢さんは缶に小さな穴の開いた蓋をかぶせると、カセットコンロの上でじか火で熱し始めた。見た目はかなり豪快。5分もすると缶が音を鳴らし始め、穴からはボコボコと泡が吹き出した。缶の隙間から沸騰した水滴も飛んできて熱い。

どうやら、これが出来上がりの合図らしい。中鉢さんが駆け寄ってきて、カキの殻をナイフでむき始める。ものの2分で皿の上に丸々としたカキが並んだ。箸で持つと身がぷるぷる震える。口に入れると程よく熱が通って軟らかく、磯の香りが膨らむ。かむと口中に海の味が広がった。