「きりたんぽ」真の主役 歯応えダンゼン比内地鶏東北肉紀行

天然記念物で食べるための制約が多かったことなどから、73年に秋田県畜産試験場が食用にするための研究に取り組んだのが比内地鶏。比内鶏のオスと、米国原産の「ロードアイランドレッド」のメスを掛け合わせた一代交雑種だ。

ハウスの外で放し飼いされる比内地鶏

「もともとは、郷土料理のきりたんぽ用に少数の農家が飼育していただけ。焼鳥店で使われるようになって需要が急拡大した」と話すのは比内地鶏の加工・販売の最大手、本家比内地鶏(大館市)の阿部一茂社長。重信さんの兄でもある。養鶏場は、コメの減反で空いた休耕田を使うことで増え、生産者も増えていった。

秋田県と生産者団体などで、名古屋コーチンと並ぶ100万羽を目標に掲げて生産と普及に取り組み、2008年には生産者は149戸、生産量は78万羽に達した。

偽装の反省で認証制度

本家あべや秋田店のきりたんぽ鍋

順調に伸びていた比内地鶏だが、2007年に県内の食品加工会社が比内地鶏と偽って、別の鶏肉や卵の薫製などを販売していた偽装事件が起きた。さらにリーマン・ショック後の景気低迷も重なり、09年の生産量は58万羽と一気に20万羽減少した。

この問題を受け、秋田県は08年に比内地鶏のブランドを厳格に守るために認証制度を設けた。生産者や加工業者を対象に、日本農林規格(JAS)の地鶏の規定より厳しい生産や管理の基準だ。

メスはふ化から150日以上、オスは100日以上の飼育が必要。ふ化から28日以降は平飼いまたは放し飼いで、1平方メートル当たり5羽以下などと規定した。県職員が訪問して調査、基準を満たした生産者・加工業者に認証票を交付する。

さらに10年からは県畜産試験場による出荷前の肉のDNA検査も始めた。「生産段階のチェックに加え、出荷直前の製品のチェックもすることでブランドを厳格に守っているという信頼性を高める」(同試験場比内地鶏研究部)ためだ。こうした努力もあってか、生産量は11年の51万羽から12年には55万羽に上向いている。

にぎわう「きりたんぽまつり」

その比内地鶏を使う料理の王様と言われるのが、冒頭で紹介したきりたんぽ鍋。10月の12日~14日の3日間、「本場大館きりたんぽまつり」が大館市で開かれた。例年、10月中旬ごろに行われており、今年で41回目を迎えた。

創業120年の老舗料亭「北秋くらぶ」や全国に姉妹店を展開している「秋田比内や大館本店」などの有名店や温泉宿が屋台を出店。1杯500~600円できりたんぽの食べ比べができるのが売り物で、3日間で11万人が訪れた。

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