旅行・レジャー

日本の歩き方

ビルに突き刺さる軌道 姫路、「未来交通」夢の跡

2014/1/5

開業当時の姿を最もよくとどめている船場川沿い。約350メートルにわたり軌道が続く。

もしその構想が実現していたら、西日本の交通体系は今とは様相が違っていたかもしれない。

姫路モノレール。兵庫県姫路市が1966年5月17日に開業した日本初の本格的な公営モノレールだ。姫路駅と近くの手柄山中央公園を結んだわずか1.8キロの路線だが、将来は鳥取市や京都府舞鶴市まで延ばす構想があった。だが利用が伸びずにわずか8年で休止、79年には廃止された。

「現代の遺跡」静かな人気に

モノレールの残骸はその後しばらく顧みられることもなかったが、今ではローマの水道橋にも似た軌道のたたずまいなどが現代の遺跡として静かな人気を集めている。その一部が老朽化で取り壊されると聞いた。今なら間に合うかもしれないと、現地に急いだ。

再開発が進むJR姫路駅北口。正面には改修中の姫路城の覆いが見える。

JR姫路駅北口を出ると、正面に大手前通りがある。通りの先には2015年に改修を終える世界文化遺産、姫路城の覆いが見える。駅前は再開発中で、至る所にパイロンが立つ。その西隣、時代から取り残されたような一角に、もう一つの「文化遺産」はひっそりたたずんでいた。

すすけたビル群の上に顔をのぞかせる、煙突のような角柱。モノレールの橋脚だ。建物は大半がシャッターを下ろしたまま。寂れた町並みが郷愁をかき立てる。山陽電鉄の高架をくぐり、さらに西へ行くと再びビル群。こちらには橋脚だけでなく、モノレールの軌道が残っていた。

姫路市はモノレールの廃止後、安全上の理由から公共工事などにあわせて軌道を少しずつ撤去してきた。このブロックは工事がなく、軌道が撤去されずに残ってきたようだ。ただ、市によるとこの一角も「2月にも軌道の撤去を始める」(管財課)という。

それにしても、これだけのビルが密集する場所に、どうやって橋脚を建てたのか。近くにいた地元の70代女性に訪ねたら、意外な答えが返ってきた。

「これね、先にモノレールの橋脚があったの。店は後から建ったのよ」

市に確認すると、モノレールの軌道下は市有地で、敷地活用で民間に貸し出したのだという。「店が建ったのは67~70年。まだモノレールは現役でした」(同)。屋根すれすれにモノレールが走り抜ける様はちょっとした見ものだったろう。

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