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さようなら「日本一大きな村」 岩手県滝沢村 市制移行の歓喜と名残惜しさ

2013/12/31

12月5日、村長として最後の定例記者会見に臨んだ柳村典秀村長はこう話した。「人口日本一」の冠を捨てて新たに掲げる旗は「住民自治日本一」。「今後は行政に何かをしてもらうのではなく、自分たちが滝沢のために何ができるか考え、行動していく市民になろう」。柳村村長は機会あるごとにそう繰り返し、村民に訴え続けてきた。

岩手県滝沢村の市制移行正式決定を喜ぶ村民ら(8月23日、滝沢村役場前で)

「今までの進出企業は『盛岡支社』などと名乗るところも多かった。市になれば『滝沢』を前面に出してくれる企業も増えるのではないか」(柳村村長)

村役場付近から盛岡市中心部までは車で30分弱。宅地も安く、村内から盛岡に通勤する人は多い。現在は岩手県立大学、盛岡大学なども集まる。

岩手県の滝沢村役場の正面玄関には市制移行決定を祝う立て看板が

2000年に人口が5万人を突破。このころから自治機能の高い「市」への移行機運も出始めた。ただ、当時は「官公署が5カ所以上あること」など岩手県条例で定められた市になる条件を満たしていなかった。盛岡市は合併を打診。しかし、村民には「合併は反対」との意見も多く、村は(1)村のままで行く(2)単独で市になる(3)盛岡市と合併する――の3案の検討を続けていた。11年には村の研究会が「市への移行が最適」と答申。こうした流れを受け、今年7月に県議会が滝沢村の市制移行を可決した。

市になると福祉事務所を設置でき、生活保護の決定や児童扶養手当の認定を県を通さずに行えるようになる。都市的なイメージが向上し、新たな企業の進出を促す効果も見込まれるという。住所表示も簡略化される。

去りゆく「村」を惜しむ声

一方、看板やインターネット上の施設名称の表示変更に約2億円のコストがかかる。「『こういう市にしよう』という明確なビジョンが感じられず、一部の役人たちが拙速に事を進めようとしている」と批判的な村民も少なくない。

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