ササニシキ・つや姫・あきたこまち 東北のコメ三国志

あきたこまちは特売の目玉?

5キロ1600円台で特売されるあきたこまち

5キロ1680円――。秋田市内のスーパーでの特売価格で2000円を下回るのは、あきたこまちだけだ。

あきたこまちがデビューしたのは30年前の1984年。コメの消費量が減り、生産調整(減反)の時代に入ったのを機に、当時の二大ブランドだったコシヒカリ、ササニシキに肩を並べるコメを作ろうと、コシヒカリと病気や冷害に強い奥羽292号を掛け合わせてつくられた。

コシヒカリ譲りの味と香りに加えて、水分量が多くもちもちとした食感が特徴で、秋田市内のおにぎり専門店一文字の渡辺正広社長は「粘りがあって冷めてもおいしいコメの先駆け。すっきりとした味は、いろいろな具材と合いおにぎりに向いている」と話す。

日本穀物検定協会(穀検、東京・中央)が当時行った食味試験では、ササニシキ、コシヒカリを上回る高い評価を受け、順調なスタートを切った。2013年産では県内の75%を占める看板銘柄だ。

ただ、作付けの広がりと合わせて、味にばらつきが目立つようになる。穀検の食味ランキングで2010年、11年産で最高位の特Aを逃した。この間に新興銘柄が台頭、価格下落に拍車がかかるようになった。

五ツ星お米マイスターで秋田市内で米穀店を経営する平沢敦さんは「良いコメを仕入れるために訪ねている農家は手間をかけてていねいにコメ作りをしている。ひとまとめにして評価が下がるのはかわいそう」と話す。

「おいしい米」原点へ

コメの消費量が減り、新興銘柄を含めた産地間競争が激化するなか、あきたこまちのデビュー30周年を機に「原点に返ったおいしいコメ作り」(全農秋田県本部)を打ち出した。

あきたこまちは粘りが強くおにぎりに向く

昨年11月、全県レベルで初の「おいしいあきたこまちコンテスト」が開かれ、県内各地の農業協同組合から推薦された生産者88人が出品した。成分分析や食味官能試験など計3回の審査を経て、最優秀賞の県知事賞に選ばれた安藤隆基さんは「気象条件は毎年違い、一人では判断できないことも多い。土や水の管理、施肥の時期など仲間と意見交換しながらやってきた」と栽培の難しさを打ち明ける。

全農秋田県本部では、今年もコンテストを継続するほか、上位入賞者から栽培手法を聞き取り広報する。また、種子の選び方、ハウスでの育苗、刈り取った稲の乾燥法、保管方法に至るまで細かく記載した食味ランクアップマニュアルを作成して、希望する農家全員に配布する計画だ。

秋田県では、新品種の開発も進む。30周年のあきたこまちは、大きな転機を迎えている。

(大滝康弘、高橋敬治、曽我真粧巳)