「江戸情緒」川越、平成は縁結びとキティちゃん副都心線繁盛記(5)

蔵造りの店舗や時の鐘など歴史的な街並み風景を求めて、多くの観光客が足を運ぶ川越市中心部の一番街通り

蔵造りの街並みで知られる埼玉県川越市。東京の都心部から電車で30分程度という近さも相まって、今や首都圏を代表する日帰り観光地に発展した。昨年3月の東武東上線と東京メトロ副都心線・東急東横線などとの相互直通開始以降、その人気はさらに高まっている。

出店希望が続々

洋風建物も川越の街並みを引き立たせる(写真右は一番街通りにあるルネサンス風の旧八十五銀行本店建物=現・埼玉りそな銀行川越支店

「こんな時代に良く残しているなぁ」――。3月初旬の平日の昼下がり。初老の男性が驚きの声を上げた。

川越市中心部の「一番街通り」。土蔵造りの店舗が1カ所に多く集中するのは全国でも珍しい。1999年には国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。

一番街通りでカツオ節などを取り扱う「中市本店」の6代目主人、落合康信さんは「鉄道が一本で結ばれたので来やすくなったと言う神奈川からのお客さんが増えている」と話す。

県内外から年間600万人を超す観光客らが訪れる川越。市の調べでは、昨年4~12月に神奈川県から訪れた人は観光客全体の13%を占め、その比率は前年同期に比べ6ポイント近く上回った。

川越を代表する一番街だが、順調にきたわけではない。昭和60年代以降、蔵造り建物の修復による商店街の再生に取り組んだことで、レトロブームやスローシティの流れに乗り、再び人々の関心を集めるようになる。現在では一番街への出店希望が後を絶たず「空き店舗が出ても、すぐに埋まってしまう」(不動産業者)。

この1年間で一番街を中心とする地区に9店舗が新たに出店した。業種は和風雑貨、小物アクセサリー、リサイクル用着物など観光客向けが多く、約半数の店舗は東京など地元外の業者。

一番街商業協同組合に加盟する組合員数は「87店舗と過去最高に達した」と吉崎正明理事長。現在は空き地になっている北側の一角にも近く2階建て建物3棟(1棟2店舗、計6店舗)が建つが、既に4店舗のテナントが決まっている。「和風雑貨など業種が偏っているのが課題」という。

「あ、キティちゃんだ。かわいい」――。3人連れの女子中学生が吸い込まれるように、一番街通りの仲町交差点近くにある店に入っていった。

「葉朗彩々」。サンリオのキャラクター商品、ハローキティをあしらったタオルや文房具など小物品を扱う店だ。京都市を中心に全国各地の観光地で土産物店など約150店舗を展開する寺子屋(京都市)が運営する。

久喜市から2歳の女の子を連れて来た25歳の主婦は「古いまちにこんな店があるとは思わなかった」と目を輝かせる。

寺子屋は関東地区では鎌倉や浅草、横浜、江の島などに18店舗を持つが、川越(一番街)が5店舗と最も多い。2003年に和風雑貨店と煎餅店の2店舗をオープンしたのが始まり。その後、ちりめんの布物店、箸などキッチン用品店と続き、2年前の12年に4号店として葉朗彩々が開店した。

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